「沢村賞」とは?
24日、プロ野球・2016年度の沢村賞が発表。広島の左腕クリス・ジョンソンが、外国籍選手としては1964年のバッキー(阪神)以来で史上2人目となる栄誉を掴んだ。
プロ野球創成期の大投手・沢村栄治氏の功績を讃え、1947年に制定されたのが「沢村賞」。最も活躍した先発完投型の投手に贈られる賞であり、日本における投手最高の栄誉としても知られている。
「沢村賞」には7つの大きな選考基準が存在し、それを大きな指針として5人の選考委員を中心に決定していく。7つの選考基準は以下の通り。
【沢村賞・選考基準】
(1)15勝以上
(2)150奪三振以上
(3)10完投以上
(4)防御率2.50以下
(5)投球回200イニング以上
(6)25試合以上の登板
(7)勝率6割以上
☆選考委員(敬称略)
堀内恒夫、平松政次、村田兆治、北別府学、山田久志
全項目クリアは2011年が最後
ただし、近年はこの選考がやや難しくなってきている。というのも、この基準が現代の野球に沿っていない部分があり、文句無しで「この人!」という決め方ができないのだ。
今年のジョンソンも、上記の7項目中クリアできたのは4項目だった。同じく4項目クリアは巨人の菅野智之がいたが、菅野は9勝止まりで勝利数の基準を大きく下回る。
「該当者なし」という可能性もあったが、最終的には先発投手として圧巻の成績を残し、チームを25年ぶりVへと導いた助っ人左腕が選出されることになった。
投手分業制が進み、中6日でのローテーション制が定番となった現代では、特に(3)の「10完投」と(5)の「200イニング」というのは至難の業。全項目パーフェクトでの沢村賞というと、2011年の田中将大以来出ていないのだ。
今年でちょうど70回を迎えたということもあり、ひとつの区切りとして基準の見直しを示唆する声も挙がっているという。少し寂しい気もするが、これも時代の流れ。その栄誉と価値を後世に受け継いでいくためにも、必要な変化を迫られる時が来たのかもしれない。
【近年の沢村賞・全項目クリア】※2000年以降
☆2007年 ダルビッシュ有(日本ハム)
(1)15勝 (2)210奪三振 (3)12完投 (4)防御率1.82
(5)207回2/3 (6)26試合 (7)勝率.750
☆2009年 涌井秀章(西武)
(1)16勝 (2)199奪三振 (3)11完投 (4)防御率2.30
(5)211回2/3 (6)27試合 (7)勝率.727
☆2011年 田中将大(楽天)
(1)19勝 (2)241奪三振 (3)14完投 (4)防御率1.27
(5)226回1/3 (6)27試合 (7)勝率.792