日本シリーズのビジター6連敗
2016年プロ野球の総決算・日本シリーズが開幕。マツダスタジアムで行われた第1戦、第2戦はともに広島が5-1で勝利を収め、32年ぶりの日本一へ向けて好スタートを切った。
一方で、苦境に立たされたのが日本ハム。最大で11.5ゲームあった差をひっくり返す大逆転優勝を成し遂げたチームであるが、完全アウェーの敵地ではその勢いを発揮することができず。大多数が「2勝」を計算していた大谷翔平で初戦を落とすなど、苦しい出だしとなっている。
ちなみに、日本ハムはこれで日本シリーズのビジター戦6連敗。敵地で苦しい戦いを強いられてきた嫌な伝統がある。
しかし、今シリーズは本拠地・札幌でのゲームが3試合しかない。ここからひっくり返して日本一の座に就くためには、最低1度は真っ赤に燃える敵地・広島で勝たなければならないのだ。
北海道移転後はわずか2勝...
「ビジターに弱い」とは、一体どれほどのものなのか。これまでの日本シリーズのビジター戦の戦績を調べてみた。
【日本シリーズ・ビジター戦の足あと】
<1962年 vs.阪神/甲子園>
第1戦:● 5-6x
第2戦:● 0-5
第6戦:○ 7-4
第7戦:○ 2-1
<1981年 vs.巨人/後楽園>
第3戦:○ 3-2
第4戦:● 2-8
第5戦:● 0-9
<2006年 vs.中日/ナゴヤドーム>
第1戦:● 2-4
第2戦:○ 5-2
<2007年 vs.中日/ナゴヤドーム>
第3戦:● 1-9
第4戦:● 2-4
第5戦:● 0-1
<2009年 vs.巨人/東京ドーム>
第3戦:● 4-7
第4戦:○ 8-4
第5戦:● 2-3x
<2012年 vs.巨人/東京ドーム>
第1戦:● 1-8
第2戦:● 0-1
第6戦:● 3-4
<2016年 vs.広島/マツダ>
第1戦:● 1-5
第2戦:● 1-5
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通算:20戦 5勝15敗(勝率.250)
ご覧のように、ビジターでは20戦して5勝。勝率.250という苦戦ぶりである。
北海道移転後に限れば、なんと2勝11敗。さらに分は悪くなる。この11年で5度の日本シリーズ出場という素晴らしい成績を収めながら、敵地で勝ったのは2回しかないのだ。
日本ハムにも“ヤギの呪い”!?
また、戦績を見ているとひとつ気づくことがある。北海道移転後に挙げた「2勝」はいずれも同じ投手が挙げたものだということだ。
その男の名は八木智哉。現在は中日ドラゴンズでプレーする左腕である。
八木はルーキーイヤーの2006年に12勝をマークして新人王を獲得。その年、日本シリーズの第2戦で先発すると、6回を2失点にまとめる好投。山本昌に投げ勝ち、チームのビジター戦の連敗も3でストップした。
ところが、以降は再び負けが続き、ビジター4連敗で迎えた2009年の第4戦。ここで八木が立ち上がる。
東京ドームで巨人打線を5回1失点に抑え、自身3年ぶりとなる日本シリーズでの勝利をゲット。またしてもチームのビジター戦での連敗を止めてみせた。
しかし、2012年は日本シリーズでも声はかからず。この年はビジター戦で3戦全敗。またも日本一を逃すと、2013年の1月に突然のトレード発表。オリックスへの移籍が決まった。
八木のほかにビジター戦での連敗を止める投手が現れる前に、八木を手放した日本ハム。その八木はオリックスで戦力外となるも、トライアウトから這い上がって入団を掴んだ中日で復活。奇しくも“鯉キラー”として君臨している。
カブスの“ヤギの呪い”ならぬ、“八木の呪い”...?少々強引ではあるが、日本ハムにとっては死活問題。連敗を止め、呪いを解く救世主は現れるだろうか...。