この秋の目玉がソフトバンクへ
10月20日に開催されたプロ野球・ドラフト会議。この秋の目玉である田中正義(創価大)には5球団が競合した末、ソフトバンクが交渉権を獲得した。
日本一3連覇をめざした今シーズン。交流戦を制すなど順調に勝ち星を重ねていったが、最後の最後で日本ハムに逆転を許してしまう。
最大で10ゲーム以上あった差をひっくり返されたV逸...。クライマックスシリーズでリベンジに挑むも、またしても日本ハムの前に屈した。
閉ざされた日本一3連覇の夢。しかし、チームは来季以降へ向けた大きな希望を手にした。
層の厚い先発陣
大学No.1投手と呼ばれ、即戦力としての期待が高い田中正義。しかし、ソフトバンクの先発陣は球界でも屈指の層の厚さを誇っている。今シーズン一軍で先発した投手たちを見てみよう。
【2016年・ソフトバンク先発陣】
27試合・27先発(183回) 武田翔太 14勝8敗 防御率2.95
25試合・25先発(169回) 千賀滉大 12勝3敗 防御率2.61
24試合・24先発(163回) 和田 毅 15勝5敗 防御率3.04
23試合・20先発(135回) 東浜 巨 9勝6敗 防御率3.00
17試合・16先発(89回2/3) 中田賢一 7勝3敗 防御率3.01
13試合・13先発(82回) バンデンハーク 7勝3敗 防御率3.84
35試合・ 7先発(87回2/3) 岩崎 翔 4勝2敗 防御率1.95
7試合・ 7先発(37回) 摂津 正 2勝2敗 防御率5.59
4試合・ 3先発(13回2/3) 山田大樹 1勝1敗 防御率5.93
1試合・ 1先発(6回) 大隣憲司 1勝0敗 防御率1.50
(※成績は中継ぎも含む)
今年一軍で先発したのは10人。規定投球回に到達した3人がいずれも2ケタ勝利をマークしており、しかもそのうち2人は20代前半とまだ若い。
ファームにもリーグトップの9勝を挙げた左腕・笠原大芽や、一昨年のドラフト1位右腕・松本裕樹、昨年のドラフト1位右腕・高橋純平など、将来の球団を背負うであろう有望株が揃っている。
ここに今年の目玉・田中正義が加わると...。ファンは未来のローテーションを想像するだけで笑顔が止まらないことだろう。
明るい未来と厳しい現実
しかしその一方で、チームの投手たちは笑ってなどいられない。
ただでさえ層の厚い投手陣に、またしても強力なライバルが出現した。一軍の枠は限られているわけで、競争はさらに厳しいものとなる。
さらに、ドラフトの直後には「戦力外通告」による人員整理も発表。2008年のドラ1右腕・巽真吾と、通算216試合登板の柳瀬明宏に非常な通告がなされた。結果が出ていない中堅~ベテラン選手たちはさらに厳しい状況に追い込まれるのだ。
ソフトバンクの中で崖っぷちと言えば、松坂大輔もその一人。今シーズンは二軍でも9試合の登板で1勝4敗に終わり、日本復帰後はじめてとなる一軍戦でも1イニング5失点と大炎上。寂しい姿を晒した。
次々と有望株が入ってくればくるほど、追い出される選手も出てくる。広がる未来への希望と、厳しい現実がそこにはある。
さらに強力になったソフトバンク投手陣のこれからに注目だ。