予想がつかないドラフト会議
いよいよ今日、10月20日の17時から幕を開けるプロ野球・ドラフト会議。今年は近年稀に見る“豊作”の年と言われているが、特に投手の顔ぶれは、高校・大学生ともに目玉が揃っている。
高校生では、“高校BIG3”と称される寺島成輝(履正社)、藤平尚真(横浜)、高橋昂也(花咲徳栄)の3人に夏前から注目が集まっていた中、甲子園で作新学院の今井達也が彗星のごとく登場。チームを頂点へと導き、一躍1位候補へ名乗りを挙げた。
大学生の目玉は、もはや説明不要の創価大・田中正義。今春こそ右肩の故障により登板できない時期もあって不安視されたが、秋には復活。未だ本調子とは言えないながらも、今月15日に行われたリーグ戦では流通経済大を相手に9回3失点で完投勝利を挙げ、復調を印象づけている。
田中の他にも、桜美林大の佐々木千隼や明治大の柳裕也など、侍ジャパン・大学代表で活躍した顔ぶれを筆頭に即戦力候補がズラリ。当日になっても情報が錯綜しており、各球団が誰に指名をするのか予想がつかない状況となっている。
歴代最多8球団が競合した大学No.1左腕
中でも注目は、最大の目玉である田中正義を「何球団で争うことになるのか」という点だろう。
逸材揃いの“豊作”だからこそ、たとえ1位の抽選を外したとしても、まだまだ良い選手が溢れている。そのため、今年は例年よりも目玉選手にアタックしやすい環境であると言える。
競合数の歴代最多は「8球団」。果たして、最終的にはいくつの球団が田中を指名するのだろうか。最大の注目ポイントになる。
ただし、これまで“目玉”として注目を集めた大学生候補たちを振り返ってみると、意外と活躍できずにプロの壁に苦しむという例も少なくない。
野茂英雄が歴代最多8球団からの指名を受けた翌年、同じく8球団からの指名を受けたのが亜細亜大の左腕・小池秀郎だ。
1990年の春に当時の東都で最多記録となるシーズン111奪三振を記録。最高殊勲選手に2度も輝くなど、押しも押されぬ大学No.1左腕として君臨していた。
同年のドラフトでは西武、ヤクルト、阪神、ロッテ、中日、広島、日本ハム、近鉄の8球団が獲得に名乗り。抽選の結果、ロッテが交渉権を獲得するも、小池はこれを拒否。社会人・松下電器へと進み、2年後のドラフトで近鉄ヘと入団した。
ところが、プロ入り後は1997年に15勝をマークして最多勝のタイトルを獲得したものの、2ケタ勝利を挙げたのはそのシーズンのみ。13年のキャリアで51勝47敗2セーブという成績でユニフォームを脱いでいる。
最高のデビューを飾ったあの右腕も...
2007年の大学・社会人ドラフトでは、東洋大の大場翔太に6球団の指名が競合した。
ソフトバンクに入団した右腕は、デビュー戦となった3月23日の楽天戦でリーグ史上初となる「初登板無四球完封勝利」の偉業を達成。その後も4月のロッテ戦では球団新記録となる16奪三振で2度目の完封勝利を挙げるなど、これ以上ないキャリアのスタートを切ったが、その後はプロの壁にぶつかる。
5日のロッテ戦以降は10試合の登板でわずか1勝。最終的には3勝5敗、防御率5.42という成績に終わってしまった。
翌年以降も、ルーキーイヤーの序盤で見せた輝きを取り戻すことができず。2016年からは中日に移ったが、新天地では登板機会がないまま戦力外通告を受けた。
運命のドラフトは17時!
ほかにも、ようやく力を出し始めた感のある大石達也(西武)や藤岡貴裕(ロッテ)といったところも、ドラフトを盛り上げたかつての“目玉大学生”だった。注目度が高ければ高いほど、その分苦しんでいる印象も強い。
間違いなく2016年の目玉である田中正義にとっても、本当の勝負はこれから。プロの舞台でその実力を証明しなければならない。
果たして、田中はどの球団に進むのか。運命のドラフト会議はこのあと17時にスタート。