増井のセーブ失敗はたった一度だけ
今年のペナントレースも各球団20試合前後を残すだけとなった。リーグ優勝の行方とともに気になるのが個人タイトル争い。西武の秋山翔吾とソフトバンクの柳田悠岐による3割6分前後の高打率な争いとなっているパ・リーグ首位打者にも注目だが、ソフトバンクのサファテと日本ハムの増井浩俊のセーブ王争いも負けていない。
昨季の開幕直後、武田久の離脱でクローザーに抜擢された増井は、当初はリードを守り切れない場面があったが、後半戦は復調。シーズン通算では自己最多の23セーブを挙げた。
迎えた今季は開幕からクローザーとして起用され、ここまで48試合に登板し34セーブ。セーブがつく場面で失敗したのは、5月27日のヤクルト戦だけである。
増井の防御率は1.08。奪三振率10.44、与四死球率1.98と、三振を奪えて四球などで余計な走者を許さない。また、昨季は58イニングで5本打たれた本塁打も、今季はまだ1本も打たれていない。今季、12球団のクローザーで本塁打を打たれていないのは、増井とヤクルトのバーネットのふたりだけ。1点も許されない場面で登板することが多いクローザーが、即失点につながる本塁打を1本も打たれていないことはベンチにとっても本当に心強ことだろう。
くるとわかっていても打てないサファテの速球
クローザーとして文句ない成績を残している増井だが、それ以上のピッチングを見せているのがサファテだ。
ここまで55試合に登板し4勝34セーブ、防御率は0.80。奪三振率は驚異の14.86。5月4日のロッテ戦から41イニング連続で三振を奪っている。従来の日本記録を大幅に更新中だ。サファテが奪った93三振のうち79個が空振り三振。150キロ以上をコンスタントに記録する速球は、くるとわかっていても打てないほどのキレがある。
今季のサファテが2打者以上連続で安打を打たれたのは、2打者が2回、3打者1回の計3回しかない。四球を含め2者以上連続で出塁を許したものでも計8回。相手チームに、ほとんどチャンスを作らせていない。
その結果、サファテはセーブのつく機会で34回登板しているが、そのすべてでセーブを挙げている。失敗がないだけではなく、セーブのつく場面で登板したときの失点も0。まさに、パーフェクトなクローザーだ。
圧倒的な力を持ったリリーフがいると連投をさせてしまうこともあるが、今季のサファテは2度あった3日連続が最長だ。3日連続で登板した次の日はブルペンで肩を作らせることもなく休養にあてるなど、ソフトバンクの首脳陣はサファテの力を最大限に生かしている。
リーグ優勝はソフトバンクでほぼ確定だが、日本ハムとはクライマックスシリーズのファイナルステージで対戦する可能性が大いにある。セーブの機会ではほぼ確実にチームを勝利に導く増井と、すべてを勝利に導くサファテ。ソフトバンクと日本ハムの対戦ではどちらがリードして9回を迎えるか。もしくは、難攻不落のクローザーが打たれる日はくるのか?
セーブ王の争いとともに、このふたりのピッチングにも注目だ。
文=京都純典(みやこ・すみのり)