ついに単独4位浮上! 際立つ投手力の改善
8月27日、中日を8対1と圧倒しDeNAがついに4位に浮上した。中畑清監督は「もっと上を目指している」と力強く発言。「もっと上」とはもちろんCS出場圏内である3位以上であるが、3位阪神とのゲーム差は5.5(8月31日終了時点)。簡単にひっくり返すには難しい数字ではあるが、今のDeNAには奇跡を期待させる勢いがある。
8月30日の巨人戦では、前カードで阪神との首位決戦に勝ち越し優勝に向けていよいよエンジンがかかってきた昨季王者を相手にサヨナラ勝ち。それも終盤の8回に勝ち越された後、延長に持ち込んだ末に今季途中から一軍に定着した若武者・桑原将志の一打による粘りの勝利である。これでチームはさらに勢いづくはずだ。
このDeNAの快進撃には、さまざまな要因が絡む。投手陣では、山口俊の先発転向成功に、井納翔一の成長、ルーキー・三上朋也の活躍、久保康友の加入などだろうか。昨季まで6年連続でリーグ最下位だったチーム防御率はここまで3.99と、昨季の4.50から大幅に改善。長年、課題として挙げられていた投手陣に、確かな進化が見られる。また、三浦大輔は7月の復帰以降5連勝中、ギジェルモ・モスコーソも4連勝中と、勢いという意味でも明るい材料は多い。
勢いだけでは勝てない最終盤 求められるベテランの経験値
実際、今のDeNAは強い。3、4月には7勝18敗と開幕早々11もの借金を背負い、「いつものDeNAか……」とファンの嘆きが聞こえたものの、5月以降の勝率.541は巨人の.540を上回るリーグ1位である。目下の敵である阪神の5月以降の勝率は.489、広島は.506であるから、両者はDeNAとは逆に3、4月の貯金で食いつないでいる状況なのだ。
この数字だけ見るとDeNAに明るい未来が待っているように思えるが、逆に心配な数字もある。DeNAの球団別対戦成績は、対広島が6勝11敗1分、対阪神は4勝12敗と散々なもの。今週のDeNAの対戦カードはその阪神と広島である。直接対決を制することができなければ、CS出場の夢がかなうことはないだろう。
ユリエスキ・グリエルが復帰し、トニ・ブランコ、アーロム・バルディリスと並ぶ外国人クリーンアップは確かに強力だ。ただ一方で、梶谷隆幸、石川雄洋、黒羽根利規ら若き主力には上位争いの経験がない。シーズンの疲労やプレッシャーがのしかかり、ささいなミスが命取りとなる最終盤は勢いだけでは勝ち抜けない。
幸い、DeNAにもリーグ優勝や日本一を経験してきたベテランは数多くいる。1998年の日本一戦士である生え抜きの三浦大輔はもちろんだが、藤井秀悟、尚成、中村紀洋、多村仁志らは他球団で栄冠を勝ち取ってきた。今季はふるわない、もしくは出番が少ない彼らではあるが、これからのシーズン終盤、必ずやその経験値が求められることだろう。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)