「必要とされる場所で投げたい」
「プロ野球選手である以上、必要とされる場所で投げたいというのが信念」。
復帰した理由について、このように語った和田毅。大リーグ挑戦前までのような働きが期待されるが、4年ぶりとなる日本で、どこまで投げられるかは気になるところだ。
メジャー挑戦後の和田は、オリオールズに移籍した1年目に左ひじのトミー・ジョン手術を受けた。翌年には故障から復帰するも、一度もメジャーに昇格することなく退団となる。
ボルティモアでの2年間は悔しい結果に終わったが、カブスへ移籍した14年に待望のメジャーデビュー。初勝利を含む4勝をマークするなど活躍を収め、同年11月に行われた「日米野球2014」では、MLBオールスターの一員として来日した。
復活を予感させる投球を披露したが、15年は再び故障に泣かされるシーズンとなってしまう。若手の台頭で快進撃を見せるチームを尻目に、ずか8試合の登板で1勝を挙げるに留まると、オフには自由契約となった。
「日本球界に戻るか、またアメリカに残るかという選択の中で、今年の成績だとアメリカにはこれ以上必要とされていないと感じた」と和田。「必要としてくれる場所」を求め、自分を待っていてくれるチームとファンがいる福岡へと帰るのは、ごく自然な選択だったと言える。
帰ってきた左腕にかかる期待
ただし、“アメリカ帰り”の投手がメジャー挑戦前のように活躍できるのか、疑問を抱くファンも少なくない。
特にソフトバンクは、昨シーズンの松坂大輔で痛い目を見たばかり。獲得後は大いに盛り上がったが、フタを開けてみれば一軍での登板がないまま右肩を手術。そのまま復帰1年目を終えた。
その他にも、和田と同じサウスポーで、12年途中にオリックスへ復帰した井川慶は2勝。14年から2年間DeNAでプレーした高橋尚成に至っては、1勝も挙げることなくユニフォームを脱いだ。このようにメジャー帰りの投手の多くは、復帰後1年目に苦しんでいる。
ただし、その一方で成功例がないわけでもない。伊良部秀輝や、石井一久、黒田博樹の3人は、復帰1年目に10勝以上を挙げている。精彩を欠く先発投手が多い中、結果を残した数少ない例といえる。和田はこの3人に続いていくことができるか、大きな注目ポイントとなる。
チームとしても、和田にかける期待は大きい。ソフトバンクの先発事情を見てみると、昨年チーム最多勝の武田翔太を筆頭に、摂津正、バンデンハーク、中田賢一、さらには期待の若手も多く在籍しているが、“左”となると一気に手薄になる。巨大戦力を誇るチームにおいて、数少ない弱点を補うピースになり得るというわけだ。
それだけに、求められるものは大きい。ここまでのキャンプでは、5年ぶりに握る日本のボールに戸惑いを見せながらも、初日からブルペンに積極的に入って調整を続けている。
「日本に戻るならホークス以外は考えてなかった」と話した和田。かつてのような輝きを見せることができるのか、帰ってきたサウスポーに注目だ。
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▼ 和田 毅
生年月日:1981年2月21日生(34歳)
出身:島根県
経歴:浜田高-早稲田大-ダイエー・ソフトバンク-オリオールズ-カブス-ソフトバンク
ポジション:投手
身長/体重:180cm/81kg
投打:左投左打
[NPB通算] 210試(1444回2/3)107勝61敗 奪三振1329 防3.13