大きな期待を受けて入団も…
まさに崖っぷちといえばソフトバンク松坂大輔投手しかいないだろう。昨年9年ぶりとなる日本球界復帰を果たしたが、3月のオープン戦に登板後、右肩の故障でそのまま戦線離脱。とうとう2015年シーズンは1軍登板もなく、ファンはもちろん周囲をがっかりさせた。
3年12億円の大型契約。ソフトバンクは何もしない松坂にすでに4億円を支払ったことになる。春季キャンプでは、松坂フィーバーが起こり、連日多くのファンと報道陣がつめかけた。期待が大きかっただけに失望するファンの声も多い。「何のために戻ってきたの?」。
皮肉にも松坂不在のチームは圧倒的な力で日本一に輝いた。「松坂不要論」は増すばかりだ。昨シーズンを振り返っても、武田翔太や摂津正など安定した先発ローテションは12球団屈指。今季、仮に復帰したとしてもそこに松坂が入る余地があるだろうか…。
もちろん、全盛期の松坂なら開幕投手どころか、2ケタ勝利も確実だったはず。だが、故障続きで、メジャー帰りとはいえ、輝いていた時代の姿が垣間見えない松坂にとって、今の常勝チームのローテ入りは難しいというのが正しい答えなのかもしれない。
「客寄せパンダの意味合いはあるかもしれない。実際、うちはFAになった時点で(松坂を)獲りにいかなかったからね」。他球団の編成は語る。さらに「キャッチボールの映像とか試合の映像見ても、明らかに全盛期とはフォームも違うし、球のキレも違う。何故、戦力が充実しているソフトバンクが獲ったか…。それも3年12億だろ。多分、就任前の工藤監督とはその時期に、監督就任交渉と同時に戦力についての何らかの話はしていると思う。そこで、あの工藤監督が「松坂が必要」と言ったのか…それともオーナーの鶴の一声なのか…。いずれにしても復帰後の1戦目に注目だよな」と付け加えた。
確かに打者を寄せ付けなかった往年のピッチングは無理かもしれない。だが、メジャーでの経験を武器に、さらに熟成した松坂がそこにいたら…。術後の経過が良好であれば、今シーズンの登板は可能となる。怪物は復活するのであろうか?今季、その答えが明白となる。