急速に第一線を退きつつある松坂世代
11月14日、和田毅のソフトバンク復帰、そして藤川球児の阪神復帰が発表された。かつて杉内俊哉(現巨人)とともにWエースとして活躍した和田、“火の玉ストレート”を武器に不動のクローザーを務めた藤川。それぞれの古巣復帰を喜ぶ声とともに、MLBでは目立った実績を残せなかったふたりの衰えを心配する声もある。
ふたりにはメジャーからの復帰組という点以外にも共通項がある。いわゆる「松坂世代」であることだ。現在、34~35歳の世代。紛うことなきベテランではあるが、選手生命が延びつつある現在では、主力として活躍していてもおかしくない年齢でもある。
しかし、その代名詞である松坂大輔(ソフトバンク)が今季登板なしに終わったのをはじめ、松坂世代の選手たちは急速に第一線を退きつつある。松坂世代の主な選手の今季成績を見てみよう。
【野手】
村田修一(巨人)
今季成績:103試 率.236 本12 点39 盗1
加藤健(巨人)
今季成績:35試 率.240 本0 点3 盗0
実松一成(巨人)
今季成績:22試 率.182 本1 点3 盗1
梵英心(広島)
今季成績:96試 率.237 本6 点27 盗2
木村昇吾(広島)
今季成績:72試 率.269 本0 点8 盗2
後藤武敏G.(DeNA)
今季成績:70試 率.206 本4 点11 盗0
矢野謙次(日本ハム)
今季成績:40試 率.197 本1 点5 盗0
渡辺直人(西武)
今季成績:83試 率.272 本0 点23 盗1
小谷野栄一(オリックス)
今季成績:56試 率.295 本4 点22 盗0
竹原直隆(オリックス)
今季成績:41試 率.267 本2 点13 盗0
※矢野の成績は日本ハム移籍後のもの
【投手】
館山昌平(ヤクルト)
今季成績:11試 6勝3敗0S 防2.89
新垣渚(ヤクルト)
今季成績:15試 3勝10敗0S 防4.64
永川勝浩(広島)
今季成績:26試 1勝1敗0S 防4.78
江草仁貴(広島)
今季成績:7試 0勝0敗0S 防2.25
雄太(中日)
今季成績:3試 0勝2敗0S 防3.78
久保康友(DeNA)
今季成績:21試 8勝7敗0S 防4.12
長田秀一郎(DeNA)
今季成績:45試 4勝1敗0S 防2.06
88年世代に待ったをかける姿を見たい
野手で、今季の衰えが目立ったといえば村田修一(巨人)だろう。自慢の長打力も鳴りを潜め、12本塁打に終わった。投手では杉内俊哉(巨人)が防御率3.95で6勝止まり。館山昌平(ヤクルト)の怪我からの復帰や、長田秀一郎(DeNA)のリリーフでの奮闘が目を引くが、全体的に寂しい数字が並ぶ。
また、今季は例年になく大物選手の現役引退も目立ったが、そのなかにも松坂世代の選手が含まれる。東出輝裕(広島)、森本稀哲(西武)、木佐貫洋(日本ハム)らがユニホームを脱ぐ決断をした。
今や「~世代」といえば、前田健太(広島)など、各球団の主力を担う「88年世代」に取って代わられた。しかし、松坂らが球界にもたらした衝撃を目の当たりにした野球ファンとしては、彼らにもう一花咲かせる姿をぜひ見せてほしいのだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)