14年ぶりリーグ優勝も、不在だった男
昨シーズン、史上稀に見る大混戦となったセントラル・リーグを制した東京ヤクルトスワローズ。2年連続最下位から一気に頂点へと駆け上がったチームは、昨年届かなかった日本一へ向けて沖縄県浦添で始動した。
チームの強みは何と言っても強力打線。首位打者と最多安打の川端慎吾に、本塁打王と盗塁王、最高出塁率の山田哲人、そして打点王の畠山和洋と、セの野手タイトルは主軸3人が総ナメにした。
チーム打率.257はリーグトップで、総得点574は断トツ。そんな強力打線に“あの男”が帰ってくるとしたら…。各球団の投手陣も戦々恐々としていることだろう。
男の名はウラディミール・バレンティン。シーズン本塁打数の日本記録保持者である。
2011年から2013年までは3年連続で本塁打王を獲得。2014年まで4年続けて30本塁打以上を記録した助っ人だが、チームが14年ぶりのリーグ優勝を果たした昨年はわずか15試合の出場に留まり、本塁打も1本しか打てなかった。
14年のオフに左ひざの手術を行った影響で出遅れると、一軍昇格したその日の出場で今度は太ももを負傷。長期離脱を余儀なくされてしまう。チームが優勝争い真っ最中の9月に復帰したが、最後まで調整不足の感は否めず。遅れを取り戻すような大爆発は見られなかった。
目標は「46発」…人が変わったようなハイペース調整
チームとしては優勝を経験しながらも、個人としては悔しい思いを抱き、不完全燃焼で終わった昨シーズン。雪辱に燃える男は早くもトップギアで調整を行っている。
バレンティンに限らず、助っ人にありがちなのが来日時の“増量”。オフを母国でゆったりと過ごし、キャンプインには別人のような姿で現れる選手というのがよくいる。
しかし、今年のバレンティンは顔もお腹周りもスッキリ。「(体重は)計ってないけど、昨シーズン終了時より軽いのはたしかだよ」。1月中から体を動かし、オフには炭水化物の摂取を制限するなど、「体重には特に気を遣っている」とのこと。度重なるケガで悔しさを味わった男は、“優等生”に生まれ変わっていた。
今年の目標は「46本塁打」。これを達成すると、NPB通算本塁打が200の大台に乗る。節目の記録とともに、3年ぶり4度目のキング返り咲きへ…。ヤクルト強力打線に戻ってくる大砲・バレンティンに注目だ。
▼ ウラディミール・バレンティン
生年月日:1984年7月2日(31歳)
出身:オランダ領アンティル・キュラソー島
経歴:マリナーズ-レッズ-ヤクルト
ポジション:外野手
身長/体重:185センチ/100キロ
投打:右投右打
[NPB通算] 503試 率.279 本154 点363 出塁率.391 長打率.593 OPS.984