高卒で活躍する難しさ
今年のキャンプを盛り上げた選手といえば、ロッテの平沢大河と楽天のオコエ瑠偉。それぞれドラフト1位指名でプロの世界へと飛び込んできた高卒ルーキーだ。
一般的に活躍が難しいとされる高卒野手ながらキャンプ一軍メンバーに入ると、競争に振り落とされることなく、またケガすることなく完走。実戦のステップに移っても、オコエは紅白戦や練習試合を含む7試合で9つの打点をマークするなどアピールを続ける。
しかし、ここまでは順調に歩みを進める2人ではあるが、きっといつかは“プロの壁”というものにぶつかる時が来るだろう。鳴り物入りでプロの世界へとやってきながら、実力を発揮することができずに“有望株”のまま時間を過ごす選手も少なくない。
高卒ルーキーとして最高級の評価を受けた男
中日の高橋周平はまさにそれに当てはまる。
東海大甲府高時代、甲子園出場経験はなかったものの、高校通算71本塁打を記録。大型内野手として高い評価を受け、1巡目で消えるのは確実と言われていた。
迎えた2011年のドラフト会議、高橋周平の名前を書いたのはオリックス、ヤクルト、中日の3球団。抽選の結果、中日が交渉権を獲得した。
甲子園出場経験がない高卒内野手としては、史上初となる3球団による競合。この事実だけでも評価の高さが表れているが、加えて入団交渉では契約金1億円と年俸1200万円の提示。チームの高卒新人として最高額の提示を受けた。
キャリアのスタートも決して悪くはなかった。開幕一軍を掴むと、6月17日のオリックス戦でプロ初本塁打を記録。18歳4カ月での本塁打は、ドラフト制以降の高卒新人最年少記録という快挙もついてきた。
しかし、その後はいわゆる“プロの壁”にぶち当たる。41試合に出場も、打率は.155。本塁打も2本に終わった。2年目以降は一軍と二軍を行ったり来たりする日々が続き、出場数は2013年の66試合が最多。4年間で219試合に出場し、通算打率.228とブレイクのキッカケを掴むことができなかった。
実力は申し分なし!あとはキッカケを掴むだけ...
苦しい4年間を過ごしたが、二軍では着実に実力をつけてきている。
昨シーズンも52試合の出場で.324という高打率を残し、6本塁打を記録。2013年、14年は2割8分台で推移していたが、二軍で3割の壁を破った。
今年でプロ5年目。自分と同世代の大卒選手がプロの世界へと入ってくる年である。まさに勝負の一年。いつまでも“未完の大器”ではいられない。
21日のオープン戦では、楽天期待の若手左腕・森雄大から逆方向のレフトスタンドに放り込む一発。キャンプ中の実戦5試合で安打を記録し、ここまでの打率は.438と好調をキープしている。
今年こそレギュラー獲得へ…。期する思いは強い。
高校3年生の時には、間違いなく世代の頂点に立っていたスラッガー。4年間プロの世界でやってきた成果を活かし、5年目の飛躍へ…。開幕までの1カ月は、中日の背番号「3」に注目だ。
▼ 高橋周平
生年月日:1994年1月18日(22歳)
出身:神奈川
経歴:東海大甲府高
ポジション:内野手
身長/体重:180センチ/85キロ
投打:右投左打
[NPB通算] 219試 率.228 本17 点62 出塁率.276 長打率.378 OPS.654