筒香の“変化”
ハマの4番、そして侍の4番へ-。
横浜の主砲・筒香嘉智の2016年が始まる。
今年の筒香は、昨年までの筒香とは異なる。昨年、自身プロ入り最高となる打率.317、24本塁打をマーク。昨年は飛躍の年となったが、横浜の4番という自覚を胸に筒香はさらなる進化を求めて、今シーズンに臨む。
昨季からの主な“変化”は2点。まずはバットの軽量化だ。昨年の900グラムのバットから870グラムに変更。キャンプ前の1月にはミズノ社の養老工場を見学し、バットに対する追及心を深めた。操作性を上げるための軽量化だが、同時に飛距離も維持するために、バランスを先端方向に移動させた。出来上がった新型バットに「最高のバットを作ってもらって感謝しています」と、満面の笑みを浮かべた。
2点目は打撃フォームを変えたことだ。打撃時に極力右足を上げない、ノンステップ打法に近い打撃フォームを取り入れた。これには理由がある。オフに参戦したドミニカ共和国でのウインターリーグ。このリーグは、メジャーを目指す外国人が集う、いわば若手選手の登竜門的な場所。筒香のような、主力級の選手が参加することは珍しい。
だが、筒香は自身のレベルアップ、そして日本にはいないようなタイプの投手との対戦を希望し、自ら志願して参戦した。ウインターリーグでは、球速が160キロクラスの投手もいたほど、筒香にとっては大きな収穫となった。
その中で重要視したのが、球速の早い外国人投手への対応策。打撃時の無駄な動きをなくし、スピードのある直球に差し込まれないフォームを模索した。そしてたどり着いたのが、昨年とは大きく異なる右足の使い方をするフォームだった。
「このフォーム、体の軸をぶらさないということもあります。僕は真っ直ぐに差し込まれるのが一番嫌なんです。だから少し(フォーム)を変えてみました」。
4番としての自覚。17日の中日とのオープン戦と19日の西武戦を、下半身の張りを訴え欠場した。首脳陣をひやひやさせたが、オープン戦ラスト2 試合となった楽天2連戦でスタメンに復帰している。
若干、張りは気になるようだが「今さら焦ってもしょうがない。自分としてはやるべきことをやってきたし、しっかりと準備もしてきた。全く心配していません」とケロリ。
きっと、筒香は心の中で「開幕直前に痛いなんて言ってられるか!」と叫んでいるはず。侍ジャパンでも、主軸として招集されるようになり、今や日本を代表する主砲になりつつある。今季は、“変化”を加えた筒香の“進化”した姿を見られるはずだ。