手探り状態は今後も続く...?
プロ野球が開幕して、2週間が経過。今年から導入された「コリジョンルール」を巡り、さまざまな意見が続出している。
捕手をケガから守るための“衝突防止”を目的とした新ルールであるが、それをもう一度確認してみたい。
『今季から公認野球規則に盛り込まれた、本塁での危険な衝突を避けるための規定』
・捕手がボールを持っていない状態で、得点しようとしている走者の走路をブロックすることはできない。
・もし捕手がボールを持たずに走者の走路をブロックしたと審判が認めた場合、審判員はその走者にセーフを宣告する
・ルール導入にあたり、本塁上でのクロスプレーでもビデオ判定を適用する
と、こんな感じである。
だが実際のところ、12球団の各捕手の考え方はバラバラにみえる。このルールをしっかり守ろうといている捕手もいれば、そうでもない捕手もいるということ。そこには各球団の考え方が見え隠れする。
そもそも、これまでずっとやってきたことであるから、捕手は本能的に走者をブロックしようとするし、走者はそのブロックをかいくぐってホームインしようとする。それを真っ向から否定する新ルールに違和感を覚えるのは、当然といえば当然だろう。
もっと言えば、捕手を守るはずのルールが、皮肉にも捕手にとって不利益になっているということがある。ホーム上でのクロスプレーや激突シーンといえば捕手にとっての“見せ場”でもあり、迫力ある攻防は野球観戦の醍醐味のひとつにも挙げられるポイントだった。
今シーズンここまでで「コリジョンルール」の影響を感じたシーンといえば、3月30日に横浜スタジアムで行われたDeNA-巨人戦。7回裏にDeNAが追加点を挙げた場面だろう。
DeNAが1点リードした7回、一死二三塁から倉本がセカンドへのゴロを打つと、三塁走者のロペスはホームへ突進。クロスプレーとなるも、ロペスはタッチをかいくぐるようにしてベースにタッチ。好走塁で貴重な追加点をもたらした。
あのシーンこそ、「コリジョンルール」を考える上で最適なシーンだといえる。タイミング的にはアウトだったところを覆した“神走塁”。このプレーが生まれた要因に挙げられるのが、「コリジョンルールを気にしすぎた」ということだ。
あの場合、小林はすでにボールを保持していたわけだから、走者の走路をふさぐようにして待ち構えていても良かった。ところが、“走路の妨害”という部分を気にしすぎるあまり、ミットを下ろすまでに一瞬の迷いが生じてしまうのも仕方がない。
まだ導入1年目ということもあり、今シーズンはしばらく捕手・走者ともに手探りな状況が続くことが予想される。どこまでが許され、どこからがアウトなのか…。ホームを巡るギリギリの攻防から目が離せない。