コラム

巨人・小林誠司 正捕手への挑戦

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開幕3連戦に大きく貢献した巨人の小林誠司(写真は14年の侍ジャパン)
 「結構あります。あるんですよ(笑)。1年目もあったんですよ(笑)。でも打率が低いしめったに打たないので、打撃の印象は良くないですよね」

 宮崎キャンプで小林誠司に取材させてもらった時に「打撃では勝負強さというか、印象的な打席を何度か見ましたが、ご自身ではどんなイメージですか?」と質問したら、そう言って爽やかに答えてくれた。

 巨人の捕手と言えば打てるキャッチャー阿部慎之助。プロ生活16年目で7回のリーグ優勝を経験。その間、阿部の打撃成績は通算1813安打・361本塁打・1084打点。もちろんすべての項目で巨人の捕手史上最高の数字である。まさにレベルの違うセ界最高クラスの打てる捕手も、昨季は体調面の不安から一塁手へ転向。しかし、今季は再び捕手専念するという。

 小林誠司はこの阿部の後釜を期待され13年ドラフト1位でプロ入りするも、1年目は63試合で打率.255、2年目は70試合で打率.226。そして迎えた3年目の2016年シーズン、キャンプから調整が遅れていた阿部はコンディション不良で開幕直前に二軍降格が決定。これにより開幕マスクは小林が被ることになった。

 前年度王者のヤクルトを東京ドームに迎えた3連戦。小林は3試合すべてに先発出場すると初戦は貴重な2点タイムリー、2戦目は3安打2打点と猛打賞、3戦目でもヒット1本を放ち開幕シリーズは11打数5安打4打点、打率.455の固め打ち。リード面だけでなく、課題と言われていた打撃でチームの開幕3連勝に貢献してみせた。

 大先輩の阿部は79年生まれ、小林は89年生まれ。その差10歳。つまり、数年後に阿部が40歳で引退するのを待っていたら、小林も30歳だ。ボヤボヤしていたらその頃にはドラフトで若い正捕手候補を指名していることだろう。なんとか今季中にレギュラー奪取のきっかけを掴みたい。そのためにはどんな形でもいいから試合に出なければならない。

 とは言っても、周囲が比較対象に打ちすぎるキャッチャー阿部を持ってくると話が終わってしまう。打撃面では誰がマスクを被ろうが背番号10の代わりは不可能。だからチームは4番阿部の代わりとしてメジャー122発男の一塁手ギャレットを獲得した。未来の巨人の正捕手は感覚的には「阿部の代わり」じゃなく「阿部の次」。小林誠司はポスト阿部じゃなくネクスト阿部である。阿部から小林。でも小林はコバヤシ。相川や実松やカトケンとも違う背番号22。それでいい。

 イケメンで細身で飄々と投手をリードして時に印象的な一打を放つ。そんな新しい巨人の捕手像をこの男には期待したい。

文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
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