「スラッガー製造所」大阪桐蔭
西岡剛、中村剛也、平田良介、中田翔、浅村栄斗、藤浪晋太郎、森友哉...。
現在のプロ野球界に欠かすことのできない彼らに共通することは、言わずもがな大阪桐蔭高校出身であるということだ。
いずれも高校からドラフトで上位指名されて入団した彼ら。輩出した大阪桐蔭は、いまや高校野球界はもちろんのこと、プロ野球界、そして侍ジャパンにも欠かせない存在になっている。
藤浪のような大エースを擁して春夏連覇を成し遂げる例は別として、大阪桐蔭に特筆すべきは、その圧倒的な打力で勝ち上がる強さだ。
中田翔が1年生の時に放った左中間への弾丸ライナーのホームラン、平田がリストで押し込んだライトスタンドへのホームランなど、数々の高校生離れした打球で甲子園を多いに沸かせたのは記憶に新しい。
また、同校出身のバッターの特徴としては、その完成度の高さゆえに高校から直行でプロの世界に飛び込み、そして入団後まもなく結果を残すことも多い。
日本ハムの中田翔は、入団直後こそ苦しんだものの、4年目の2011年には規定打席に達して18本の本塁打を記録。西武の森友哉は2年目に138試合に出場し、打率.287、本塁打17を記録している。プロでも即戦力として戦えるだけの技能を、高校時代に取得しているということだ。
「晩成型選手」育成に定評の広陵
野村祐輔、小林誠司、有原航平、上原健太....。この選手達にも大きな共通点があることにお気づきだろうか。
大阪桐蔭とは対照的に、大学や社会人の世界でメキメキと成長し、4年後または社会人を経て、ドラフト1位指名をされている広陵高校出身の選手達だ。
ここ5年間のドラフトで4名の1位指名は圧巻であり、いずれも投手か捕手。アマチュアの世界で磨きあげた「守」の能力は、プロ入り後に即戦力となることを確信され、1位指名を受ける。
「打」の大阪桐蔭と、「守」の広陵――。このような視点で、プロ野球を見るのも面白い。
高校からプロへ、大学からプロへ…。様々な形で多くの野球選手がプロを目指すが、プロを夢見る高校球児をどの時点で花開かせるのか、どの局面でポテンシャルを最高点に達するよう育てるのか、各高校の指導者の方針や腕の見せどころでもある。
近年のプロ野球界を見る限り、大阪桐蔭・西谷監督、広陵高校・中井監督の視線は確実にプロ入団後を見据えている。