セットアッパー・大谷智久が早くも戦線離脱……
いよいよ2016年シーズンが開幕。戦前から評論家たちがパ・リーグの優勝候補に挙げるのは、そのほとんどが昨季覇者・ソフトバンクだ。続く上位に予想されるのが日本ハム、西武といった具合。
これらの予想を覆し、リーグを面白くするには下位予想されているチームの奮起が欠かせない。そのチームのひとつ、ロッテが開幕早々アクシデントに見舞われた。
セットアッパー・大谷智久が日本ハムとの開幕戦で腰を痛め、早々に戦線離脱したのだ。診断は全治3週間。ロッテが上位を狙うには、クローザー・西野勇士へとつなぐ大谷の存在は不可欠だ。
しかし、救世主が現れた。大谷が降板し、マウンドに上がったのは内竜也。中田翔をサードゴロに打ち取り、近藤健介には四球を献上したものの、続くレアードをスライダーで三振に切って取った。
けがさえなければ圧倒的な投球を見せる内
内といえば、とにかくケガが多い選手。2014年オフには5年連続8度目となる手術を行った。しかし、今季は6年ぶりにケガなくキャンプ入りし、オープン戦でも6試合6回無失点と結果を残し、万全の状態を維持。10年ぶりに開幕を一軍で迎えた。
ケガのために登板数が少なく、他球団ファンにとってはなじみが薄い選手かもしれないが、その能力を高く評価する声は多い。オープン戦中には「西野と2枚あるのはぜいたくな悩み」と、伊東勤監督がダブルストッパー構想もあるかのような発言をしていた。
2010年の中日との日本シリーズでは、抜群のキレを誇る2種類のスライダーを武器に三振の山を築き、4試合7回無失点13奪三振3ホールドを記録し優秀選手賞を受賞した。
2011年以降のシーズン最多登板は2012年の27試合にすぎないが、その5年間の通算成績は、101試合102回を投げ自責点はわずかに20。防御率は驚異の1.76だ。ケガなく投げられさえすれば、とんでもない投球を見せるのだ。
大谷の離脱もあって、内にかかる首脳陣の期待は大きくなっているはず。内がシーズンを通して勝ち試合の継投に定着し、ロッテがペナントの行方をかき回すようになれば、ソフトバンク一辺倒のシーズン予想を覆すようなことにもなりそうだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)