異色の経歴で話題をさらった“高学歴右腕”
今年のキャンプでは、昨夏の甲子園を沸かせたオコエ瑠偉(楽天)や平沢大河(ロッテ)など、高卒ルーキーの奮闘に注目が集まった。
昨年は松本裕樹(ソフトバンク)、高橋光成(西武)といったいわゆる高卒ドラ1選手はもちろん注目されていたが、今年のようにいきなり一軍帯同ということもなく、どちらかと言えばオリックスの山崎福也や日本ハムの有原航平といった大卒ピッチャーの話題が多かったように思う。
その中でも、異色の経歴で話題をさらった投手がいた。“高学歴選手”として大きな注目を集めたロッテのドラフト2位右腕・田中英祐だ。
初の“京大卒”ドラフト指名ということで脚光を浴び、キャンプ前から数々のメディアに取り上げられたため記憶している人も多いのではないだろうか。
「プロ野球選手」と言う道を究める...
はじめてのキャンプは一軍スタート。先発不足が課題だったロッテの救世主となるのでは、とまで言われ、大きく期待されていた。
開幕は一軍スタートこそならなかったものの、イースタンリーグでは初登板から2戦2勝、14イニング無失点を記録。開幕後も話題にことかかなかった。
そして4月29日の西武戦、満員の本拠地・QVCマリンで初先発。プロ初登板を迎える。
緊張もあっただろうが、結果としては打者18人に対して被安打6、四球3と制球に苦しみ、3回5失点でマウンドを降りた。
チームも0-7で敗れ、デビュー戦としてはほろ苦い結果に。そこから2日後の日ハム戦では2番手で登板するが、再び3回4失点と結果を出せずに終わった。
期待が大きかった分、失望も大きくなってしまったということだろうか。直後に伊東勤監督から、今の段階では一軍で通用しないとの評価が下され、登録抹消となる。
その後、体力強化を最重要課題にしながら取り組むが、投球フォームにも悩み、後半戦はイースタンリーグでの登板機会すらなくなっていった。
プロ2年目を迎えた今年、キャンプは二軍スタート。いまだ投球フォームを確認しながらの練習だ。
昨年の反省を生かして、と言葉で言うほど簡単にはいかないかもしれない。しかし、就職先の内定を辞退してまで選んだプロ野球の道を究めるためにも、田中の戦いは続く。
まずは、初登板のマリンスタジアムで大声援を送ってくれたファンのために…。再びマウンドで躍動する姿を見せてもらいたい。