動きはじめたメジャーの2016年シーズン
メジャーリーグも2016年シーズンが開幕した。
ヤンキースの田中将大は2年連続で開幕投手を任され、5回と2/3を2失点で勝ち負けつかず。現地時間12日には今シーズン2度目のマウンドに登り、今度も5回2失点で勝ち星を掴むことが出来なかった。
マリナーズの岩隈久志も、現地時間6日の今季初登板は5回2失点で降板。現地12日の2度目の登板では、6回3失点で黒星。こちらも未だ勝利がない状態となっている。
一方でいいスタートを切ったのが、今年からメジャーに挑戦しているドジャースの前田健太。ルーキーながら現地7日のメジャー初登板で6回を無失点に抑え、打っても本塁打という活躍で初登板・初勝利をマーク。現地12日の登板でも、勝ち負けこそつかなかったものの6回無失点とし、未だメジャーで点を取られていないのだ。
もう一人、レンジャーズのダルビッシュ有は、肘の手術からの復活へ向けてリハビリに取り組んでいる最中。経過は順調で、5月半ばの復帰をメドに調整を続けている。
今年はこの4名の日本が誇る先発投手たちに、レッドソックスの上原浩治と田沢純一、さらにはメジャー昇格を目指すインディアンスの村田透を加えた合計7名の投手が、メジャーの強打者たちに立ち向かう。
史上最強クラスの布陣に高まる期待と不安
メジャーの日本人投手が1シーズンで挙げた勝ち星の合計は、2014年の66勝(45敗27セーブ)が最多。この年は岩隈が最多の15勝(9敗)を挙げ、田中は13勝(5敗)、黒田が11勝(7敗)、ダルビッシュも11勝(7敗)と、史上最多となる4人の2ケタ勝利投手を輩出した。合計で9名の日本人投手がメジャーの舞台で活躍し、世界に日本人投手の価値の高さを見せつけた年となった。
翌2015年には、黒田博樹や松坂大輔、藤川球児も日本球界に復帰。今年は和田毅が古巣ホークスに復帰するなど、2014年に奮闘したメンバーは次々とメジャーを去ることになったが、新たに前田健太がドジャースに入団したことにより、楽しみは増えたと言えよう。
さらに岩隈やダルビッシュ、田中、前田の4人は、年齢的に見ても非常に“脂の乗った状態”であり、いま日本が誇る上位4投手と言っても過言ではない。
人数こそ少ないが、今年の日本人投手たちには2014年のシーズン66勝という記録を越える可能性が十分にある。過去最高クラスのレベルの高さと言えるであろう。
しかし実は、不安も過去最高クラスの大きさになるかもしれない、というのも確かである。
田中は開幕戦での最高球速が145キロにとどまり、現地メディアから昨年負傷した肘の回復具合について疑問視する声が上がっている。
また、ダルビッシュも復帰は5月と予想されているが、最後の登板は2014年のことであり、今年復帰してからどの程度の投球が出来るのかは、未知数である。
岩隈に関しても、ケガの不安はつきまとう。このオフにはマリナーズからドジャースへの移籍が決定と報道が出るも、その後に行われたメディカルチェックで異常が発覚。結局契約には至らず、マリナーズへ残留となったという“事件”もあった。この件に関しては詳細が明らかにされてはいないだけに、気がかりなところである。
また、前田も一部報道によると「入団前のメディカルチェックで右肘に異常が見つかった」とのことで、そのことが契約内容にも大きく影響したとも言われている。
日本を代表する4人の右腕が、メジャーの舞台で揃う2016年。周囲の心配の声をよそに、勝利数を争う姿を見守りたい。