ニュース 2016.04.23. 11:00

“お菓子作り”が趣味の長身左腕 広島投手陣の救世主になる?

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二軍で安定した投球を続ける広島の中村恭平
 投手の台所事情が苦しい広島に、救世主が現れるかもしれない。中村恭平投手。27歳のサウスポーだ。2013年に初勝利を挙げたぐらいで、わずか1勝と、一軍での実績はほとんどないが、今季は、前田健太投手が抜けた穴を埋める存在になる可能性が急浮上している。

 福岡出身。富士大学から2011年、広島に入団。プロ6年目。今季はウエスタン・リーグで、5試合に先発し、3勝0敗。2完投、うち1完封、防御率1.00と先発投手としての役割を果たしている。

スリークォーターから繰り出す最速153キロのストレートと、スライダー、カーブを投げ分け、打者の内角をえぐる度胸のいいピッチングが持ち味。制球が悪かったため、セットポジションから投げていたが、2013年からワインドアップ投法に戻し、球威が増したという。

 度胸もある。というより、松井秀喜級の神経の図太さを持っている。13年8月のこと。投手陣の練習に約1時間、遅刻したのだ。前田健太や大竹寛といったベテラン投手陣が時間通りに来ている中で、堂々の遅刻。単なる寝坊だったというが、その神経は並大抵のものではない。

 そして、顔もイケメン。広島の選手の中では1、2を争う。ジャニーズ系の顔立ちで、学生時代には街を歩いていた時に、ホストの関係者からスカウトされたこともあったという。さらに、趣味がお菓子作りというのも異色。友人たちに、自分の作ったクッキーなどを配ったこともあるというから、趣味というより、ちょっとした“お菓子職人”だ。

 広島ファンの間では、「四球グセ」が致命傷だという。勝負どころで制球を乱して、ピンチを広げ、甘く入ったストレートを痛打される。そのクセさえなくなれば、一軍でも勝負できる投手になる、というのが一般的な見方だ。その点は、中村自身も承知しているようだが、ノーコン病が止むことはなかった。

 その「四球グセ」も、克服気味だ。今季のウエスタンでの成績は、前述した通り、3勝0敗。そして与四死球は12。投球回が36回だから、1試合平均の与四死球は3となる。どちらかというと少ない数字だ。さらに言えば、ウエスタンの投手の中で、完封勝利を挙げているのも中村1人だけなのだ。

 制球の悪さを克服し、スタミナも十分。魅力ある投手だろう。「投球術さえ覚えれば、大成する。左の140キロ以上は貴重」と、コアな広島ファンは、中村の覚醒に期待している。

 前田が抜けただけではない。今季の広島は、大瀬良大地や一岡竜司ら、昨季は主戦級だった投手も出遅れている。現在は、黒田博樹投手やジョンソン投手が踏ん張っている状況だが、先発、中継ぎ、抑えと全てのところで投手のコマ不足は否めない。昨季まで湿り気味だった打線が、好調なチームを引っ張っている。

 91年、山本浩二監督の下でセ・リーグを制覇して以来、優勝から遠ざかっている広島。25年ぶりの優勝を目指す上で、肝心なのは、夏場をどう乗り切るか。それまでに投手陣の立て直しをしておかないといけない。そこで、救世主になりそうな投手が中村恭平。中村が優勝のキーマンになりそうな気配だ。
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