今週、メジャーリーグを毎日のように追っているファンなら、ある違和感を覚えたかもしれない。
「なんだか、野球が終わるのが早い」
現地の平日に行われるMLBでは、日本時間の11時前後から西海岸のナイターが始まり、14時近くまで試合が続くことが多い。ところが今週は、その“最終便”が連日のように見当たらなかった。実際、日本時間8月18~21日(現地17~20日)の4日間はいずれも13時台前半までに全試合が終了した。
その理由は、日程にあった。この4日間、太平洋時間帯に本拠地を置くメジャー6球団の球場では、1試合も開催されなかった。
対象はマリナーズ、ジャイアンツ、アスレチックス、ドジャース、エンゼルス、パドレス。6球団の遠征と休養日が重なり、大谷翔平のドジャースも、松井裕樹のパドレスも含め、西海岸の本拠地から丸4日間、試合が消えた。
現地ファンも妙な日程に気づいていた。SNSでは「太平洋時間帯の全チームが遠征していることに気づいた?」「30球団すべてが試合をする普通の火曜日なのに、西海岸では1試合もない」といった投稿もあり、「自分も気づいて、よくあることなのか調べていた」と反応するファンもいた。
では、実際どれほど珍しいのか。米国の野球記録・研究団体「Retrosheet」の実開催データなどをもとに調べた。オールスター休みなどリーグ全体の中断期間を除けば、同様の空白があった前回は1997年4月28日~5月1日。29年も前のことだ。
1997年といえば、野茂英雄がドジャースでプレーしていた時代。日本人野手がメジャーに挑戦するのは4年後。イチローや新庄剛志はまだNPBでプレーしていた。
しかも同年4月10~17日には、今回を上回る8日連続の“西海岸開催ゼロ”もあった。
背景には、その年ならではの日程事情もあった。前年の1996年はシーズン序盤、寒冷地で悪天候による中止が相次いだ。これを受けて翌1997年は、開幕後の4月上旬に寒冷地の球団の試合ができるだけ温暖な地域で開催されるよう日程が組まれたのだ。
実際、1997年は4月上旬に西海岸での開催が多く、その後は西海岸勢の東部・中西部への遠征が重なり、4月10~17日に8日間の空白が生じた。
一方、今年については、少なくとも1997年のような特殊な日程事情は確認できなかった。各球団の遠征と休養日が結果的に重なり、29年ぶりの空白が生まれたようだ。
今週発生した29年ぶりの珍事に気づいた日本のファンもいただろうか。少なくとも、日々MLBの日程を追っている筆者は「なんだか今週は終わるのが早い」と感じた一人だった。
文=八木遊(やぎ・ゆう)