阪神のフレッシュな争いを盛り上げるドラ6ルーキー
今年の阪神は、若手が最高に面白い。
ドラフト1位ルーキーの高山俊を筆頭に、横田慎太郎や江越大賀、最近では原口文仁など、次々とスター候補が誕生している。
そんな中、高山の陰に隠れがちだが、もう一人の大卒外野手・板山祐太郎も、今年の阪神を象徴する未来のスター選手候補だ。
昨年のドラフト会議で、阪神から6位指名を受けて入団。金本知憲新監督が獲得を熱望したための指名だったという。
その打撃フォームは、現役時代の金本をほうふつとさせるスタイル。指揮官は自身の姿を重ね合わせたのではないだろうかと思わせるほど、往年の金本に似ている打撃フォームである。
高校時代は甲子園出場もなく、亜細亜大でもレギュラーに定着したのは3年の春からと、遅咲きの選手だ。大学4年時に、その秀でた野球センスを発揮すると、秋季リーグ戦で結果を残し、チームの優勝に大きく貢献。評価を上げてプロの世界へと滑りこんできた。
驚異的なフィジカルの強さ
この板山に限らず、亜大出身者に共通する項目として“体の強さ”が挙げられる。
亜細亜大の野球部と言えば、想像を絶する厳しい練習で有名だ。練習はもちろん、規律そして上下関係も“日本一”と言われる厳しさがあると言われている。
その4年間はまさに“地獄”で、板山の大先輩にあたる元阪神の赤星憲広さんは「何億円積まれても、大学時代には戻りたくない」と振り返るほど、過酷な大学生活なのである。その“地獄”の4年間を過ごしてきた板山とって、怖いものなどないのかもしれない。
プロ入り直後の新人体力測定では、半分以上の測定で新人トップの数値を記録。その体幹の強さを測定する「トランクローテーション」では1400キログラムを計測(※阪神現役選手の平均が1100キロ)するなど、大学4年間の練習量は嘘をつかなかった。
プロ生活は二軍の安芸キャンプでスタートしたものの、持ち前の根性と強靭な体で猛アピール。それが首脳陣の目に止まり、安芸キャンプ終了後に一軍キャンプへと合流した。
迎えた4月22日の広島戦に代打で出場。一軍デビューを飾る。5月5日の中日戦では、「5番・右翼」でスタメン出場。第1打席でチーム初安打となる二塁打を放った。ルーキーが阪神のクリーンアップを任されるのは、1997年の今岡誠以来となる出来事だった。
高山に宣戦布告!チーム内の競争が阪神を高みへ導く
ユーティリティプレーヤーという点でも、今の阪神の中では大きな武器となる。
外野手の層が厚い阪神にとって、本職の外野以外にも三塁や二塁も守れるという板山の存在は頼もしい存在だ。
6日のヤクルト戦では、本拠地・甲子園でヤクルト先発の小川から決勝打を放ち、プロ入り初のお立ち台に登る。「ルーキーは高山だけじゃないので、応援よろしくお願いします」と、チームメートでありながらライバルでもある同期の高山に堂々と“宣戦布告”した。
この一言で、阪神ファンのハートを一気につかんだ板山。2人のルーキーによる切磋琢磨が、今年の阪神を盛り上げているのは間違いない。