ニュース 2016.06.25. 19:00

女子プロ野球に誕生した姉妹バッテリー

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兵庫ディオーネの“左腕エース”泉由有樹
○ 京都フローラ 5-1 兵庫ディオーネ ●
<ヴィクトリアシリーズ第9戦・淡路佐野第一球場>

 圧倒的な強さで女子プロ野球の前期優勝を果たした兵庫ディオーネ。しかし、後期開幕戦となる6月25日の京都フローラ戦を、主力不在という状況で迎える。なぜなら、里綾実・厚ヶ瀬美姫・寺部歩美の主力3選手が、9月に韓国・釜山で行われる女子野球ワールドカップの代表合宿(新潟)に参加しているからだ。前期優勝の立役者たちがいない中での開幕戦。前後期優勝を狙うディオーネにとっては厳しい幕開けとなった。

 この窮地を救うべく、ある姉妹が立ち上がった。後期開幕戦には、ディオーネの“左腕エース”泉由有樹が先発。その試合で、今季より導入されたトライアルゲーム制度(※育成球団であるレイアの対象選手がトップチームの限られた日程の中で公式戦に出場できる制度)を利用し、泉由有樹の妹でレイアに所属する捕手の泉由希菜が出場し、女子プロ野球リーグ史上初の姉妹バッテリーが誕生した。

 姉妹ならでは、他のバッテリーにはない信頼関係は、大きな武器となるはずだったが、ティアラカップ優勝で波に乗る京都フローラ打線を抑えることはできなかった。姉の由有樹は「妹と公式戦でバッテリーを組むとなると、高校生以来ですね。私のことを理解してくれているので、投げやすさはあります。『ここでこのボールを投げたい』と思っているボールを要求してくれます」と、妹に絶対の信頼を置いていたが、同点で迎えた6回、京都の秋山に勝ち越し打を許すと、続く金山にはダメ押しとなる2点適時打を浴びた。

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 一方、トライアルゲーム制度での公式戦出場が2度目となる妹の由希菜も「前回、埼玉アストライアでプレーした際は、緊張して自分のプレーが出来なかった。今回は2度目となるので、自分のプレーができるよう心掛けて臨みます。自分が打って、姉に勝ちをプレゼントできるよう頑張ります」と胸を弾ませ、試合に臨んだが2三振を含む無安打に終わった。

 姉の由有樹は、前期を終えてここまで3勝。本人の理想は高く、まだ満足のいくピッチングは出来ていないと話す。現在もフォームをよりしなやかにするために肩回りの強化に取り組んでいる。昨オフから新しく就任した川口知哉コーチと二人三脚でフォーム改造も行った。「制球力アップを目的にフォーム改造を行いました。フィニッシュの形から固め、トップの位置、体重移動など1つずつ固めていきました」。

 主力不在の開幕戦。周囲からも不安な声が漏れる。しかし泉は「色々な人から、3人が居なくて大丈夫?などと言われますが、今年の兵庫ディオーネは全員野球をモットーに毎試合を戦っているので、3人がいなくても“ここまでできる”というチームとしての底力を見せたいです。そのためにもまずは後期開幕を2連勝して、いいスタートを切れるように、自分の任せられた役割をしっかり果たしていきます。」と話していた。

 開幕白星スタートとはならなかったが、京都打線を6回まで1失点に抑えた姉妹バッテリー。1回と3回には3者凡退に抑えるなど、随所に見どころはあった。姉妹は、すでにリベンジに燃えている。
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