今年も目が離せないセ・リーグの後半戦
シーズンも折り返しを迎えるプロ野球の2016年シーズン。セ・リーグは予想外の展開となっている。
前田健太のメジャー移籍などで苦戦が予想された広島が、まさかの大躍進。32年ぶりに11連勝を挙げるなど、破竹の勢いで勝ち進んだ広島は首位を独走。2位の巨人とは9.5ゲームの差をつけている。
さらに、それ以下の2位から最下位までは3ゲーム差の中に5チームがひしめく超混戦。クライマックスシリーズ出場権をかけた戦いは最後まで目が離せない展開となりそうだ。
「超変革打線」の課題
今シーズンから金本知憲新監督が指揮を取る阪神は、首位・広島と12ゲーム差の5位。それでも、2位の巨人とは2.5ゲーム差。ひとたび
カード3連勝など決めようものなら一気に抜き去ることもできるくらいの差だ。
新指揮官の下、「超変革」をスローガンに掲げ、改革を進めてきた新生・阪神。中でも目を引いたのが、若手野手の積極起用である。
ルーキーの高山俊をはじめ、横田慎太郎や江越大賀、板山祐太郎などなど、多くの若手選手を序盤戦から抜擢。中でも育成捕手だった原口文仁や、ポスト鳥谷として期待を受け続けてきた北條史也らはチャンスを掴みつつある。
しかし、ここまでのチーム打率は.240。これはリーグ最低の数字だ。チームの出塁率は.308でリーグ4番目でありながら、得点数はリーグ5位。走者こそ出しながらも、あと一本が出ないという苦しい攻撃がこんなところからも見て取れる。
今は「種まき」、いつか咲かせる大輪の花
しかし、そんな“あと一本”が足りないチームにおいて勝負強さを発揮しているのが、「超変革チルドレン」の高山である。
ルーキーの高山はここまで打率.253を記録。開幕直後から考えるとかなり数字を落としているが、得点圏打率は.333でリーグ4位タイの
好成績となる。
本塁打は2本ながら三振はリーグで4番目に多い63個も喫するなど、まだまだ粗い面が見えるのも事実。しかし、今後の飛躍に大きな期待が持てる選手の一人に違いない。
経験豊富なベテランと、勢いに乗る若手の融合。これこそが金本監督が掲げる「超変革」の完成形だろう。
1年目の今はまだ「種まき」の段階。期待をかけられる若虎たちが親孝行するのはいつになるか。後半戦で彼らがきっかけを掴む瞬間が訪れることに期待したい。