調子上向きの若獅子軍団
眠れる獅子が、ついに目覚めたか...?
パ・リーグ5位に沈む西武が調子を上げてきている。7月は全てのカードで負け越す大失速も、8月9日から11日の日本ハム3連戦でようやく勝ち越し。実に15カードぶりの勝ち越しを記録すると、そこから4カード連続で勝ち越しに成功と、ようやく勢いに乗ってきた。
その中でも目を引くのが、若手の積極的な起用だ。森友哉の“捕手復活”にはじまり、これまでチャンスを掴みきれなかった山川穂高の積極起用、さらにはルーキー・呉念庭や国場翼の抜擢などなど、新顔の登場で流れが変わりつつある。
“独自路線”を貫くドラフト指名
中でもルーキーたちの台頭が光る。
ドラフト1位右腕の多和田真三郎はローテーションの一角に入り、ドラフト3位の野田昇吾は貴重なリリーフ左腕として17試合に登板。5位・南川忠明も4月中に一軍デビューを果たした。
さらに、ここに来てドラフト7位入団の“隠し玉”・呉念庭がスタメン出場を続けており、同8位の国場翼が8月21日に一軍デビュー。指名10人中5人が1年目のうちにデビューを飾っているのだ。
西武のドラフトと言えば、独自色が非常に強いことでも知られている。
新聞や雑誌にも載っていないような選手を上位で指名してくることも珍しくなく、ファンの間では「西武の誰それ枠」などと呼ばれ、毎年秋になると期待(?)される。昨年でいえば、川越誠司(北海学園大)を2位で指名した際に場内がざわついた。
川越評を探してみても、投手と外野手の“二刀流”というポイントに絞って紹介されているものが多く、評価もA~Cの3段階で「C」程度。それほど大きく取り上げられたこともなく、「2位で消えるとは...」というのが大方の反応であった。
それでも、渡辺久信SDは「あまり知られていないが、持っているポテンシャルの高さというのは、投げるのも打つのも走るのもずば抜けているところがある。そういうところで2位の評価」と絶賛。
「何が良いって、抜群の身体能力。ライオンズとしては左投手としての潜在能力(を評価した)。これは面白いと思う」というコメントを残しており、球団としては確実に獲得ができるように2位での指名に踏み切ったというわけだ。
「誰それ枠」がチームを救う
ここで、西武の昨年のドラフト指名選手を振り返っておこう。名前とポジション、出身のほか、ドラフト当日に発行されたスポーツ紙各紙の評価もまとめてみた。
【西武・2015年ドラフト指名選手と評価】
1位 多和田真三郎(投手/富士大) [A][A][A][A][A]
2位 川越誠司(投手/北海学園大) [C][C][C][-][-]
3位 野田昇吾(投手/西濃運輸) [-][C][-][C][C]
4位 大瀧愛斗(外野手/花咲徳栄高) [B][B][B][B][B]
5位 南川忠亮(投手/JR四国) [-][-][-][C][-]
6位 本田圭佑(投手/東北学院大) [B][C][B][B][B]
7位 呉念庭(内野手/第一工業大) [C][-][C][C][-]
8位 国場翼(投手/第一工業大) [C][-][C][-][-]
9位 藤田航生(投手/弘前工業高) [-][-][C][-][-]
10位 松本直晃(投手/香川オリーブガイナーズ) [B][-][C][C][B]
※評価は全てドラフト当日のスポーツ紙に掲載されたもの。[-]は掲載なし。
さすがにドラ1の多和田に関しては「A」の評価(※最高が「S」の新聞もある)が並んだものの、2位以下は掲載すらされていない選手というのも少なくない。
それでも1年目から半分が一軍デビューを果たし、二軍では高卒の2人も含めた全員がすでに試合に出場。ドラフト4位の大瀧愛斗(※登録名:愛斗)は1年目から60試合の出場するなど、英才教育を受けている。
「誰それ」と言われていた選手が、いつしかチームを救う存在に...!? 着実に力を発揮している西武のルーキーたちの今後に期待が高まるとともに、この秋のドラフトへの期待も高まる。