有望株が多い94年世代
『松坂世代』、『88年世代』…。
同学年に活躍している選手が多いと、このようにくくられることが多い。そして将来、『94年世代』も将来的には、2つの世代に負けないくらいの“最強世代”となりそうだ。
この学年を引っ張っているのは、大谷翔平(日本ハム)と藤浪晋太郎(阪神)だろう。大谷は投手と野手の二刀流として、1年目からかなり注目を集めた。1年目は大活躍とはいかなかったが、2年目は投手で11勝、野手で10本塁打と2ケタ勝利、2ケタ本塁打を達成。3年目の昨季は野手の成績を落としたが、投手では最優秀防御率(2.24)、最多勝(15勝)、最高勝率(.750)と投手三冠に輝いた。
4年目の今季は、ここまで野手では3番打者として、打率.322、22本塁打、61打点の成績を残せば、投手でも8勝4敗、防御率2.12と素晴らしい成績を残す。球界の常識を覆す活躍を見せる大谷が、この世代では頭ひとつ抜けている存在だ。
【今季成績】
大谷翔平(日本ハム)
投手:19試 8勝4敗 防2.12
野手:94試 率.322 本22 点61
藤浪は高卒1年目から3年連続2ケタ勝利
大阪桐蔭時代に、甲子園で春夏連覇を達成した藤浪は、1年目に田中将大以来となる高卒新人で2ケタ勝利を記録した。2年目も11勝、3年目の昨季は14勝を挙げた。さらに221奪三振を奪い、最多奪三振のタイトルを獲得。
さらなる飛躍が期待された今季は、苦しいシーズンを送っている。特に7月は0勝4敗と1勝も挙げることができなかった。8月以降も、チームに勝利をもたらすことができず、6勝11敗と大きく負け越し、高卒1年目から続く2ケタ勝利達成は、かなり苦しい状況だ。
【今季成績】
藤浪晋太郎(阪神)
24試 6勝11敗 防3.51
神ってる男・鈴木誠也もこの世代
また、この世代で活躍しているのは大谷と藤浪だけじゃない。25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した鈴木誠也(広島)は、大ブレイクを果たした。鈴木は1年目から毎年のように期待の若手として名前を挙げられていたが、昨季まではベンチを温める事が多かった。
4年目の今季は故障で出遅れ、開幕は二軍スタート。4月5日に一軍を昇格すると、コンスタントに結果を残した。6月17日と18日のオリックス戦で2試合連続サヨナラ本塁打を放った。緒方孝市監督も鈴木の活躍に“神ってる”と評価。その後、レギュラーを不動のモノにし、今では丸佳浩、菊池涼介らとともにチームに欠かせない存在へと成長を遂げている。
【今季成績】
鈴木誠也(広島)
122試 率.340 本27 点93
ロッテ・田村は守備だけでなく打撃でも存在感
田村龍弘(ロッテ)は今季、正捕手の座を掴みつつある。昨季守備ではリーグトップの盗塁阻止率を誇ったが、打撃で苦しんだ。今季も5月までは打率1割台と低迷。交流戦に入ってから、伊東勤監督のアドバイスもあり打撃が開眼した。6月は月間打率.400、1本塁打、13打点の成績を残し、パ・リーグの捕手では2004年6月の城島健司(当時ダイエー)以来の月間MVPに輝いた。
その他、遊撃のレギュラーに定着しつつある北條史也(阪神)、昨季10勝をマークした若松駿太(中日)、内野のユーティリティープレーヤーとして1年目から一軍で活躍する西川龍馬(広島)など有望株が多い。
さらに、大学生では大学球界No1右腕の田中正義(創価大)、日米大学野球選手権で好投した柳裕也(明治大)、藤浪と高校時代チームメイトだった沢田圭佑(立教大)などがいる。
プロ・アマともに有望株が多い『94年世代』は、将来『松坂世代』、『88年世代』と同じように球界を引っ張っていく選手が沢山でてきそうだ。
【今季成績】
田村龍弘(ロッテ)
118試 率.253 本1 点33
北條史也(阪神)
114試 率.267 本3 点27
西川龍馬(広島)
56試 率.300 本0 点2
若松駿太(中日)
18試 7勝8敗 防4.17
※成績は16年9月16日現在