実力者が揃う89年世代
89年世代組が熱い…。
1つ上の“88年世代”は田中将大(ヤンキース)、前田健太(ドジャース)、坂本勇人(巨人)、柳田悠岐(ソフトバンク)といった球界を代表する選手が数多く存在する。いまや松坂大輔(ソフトバンク)を中心とした80年生まれの“松坂世代”を上回る活躍だ。
“88年世代”、“松坂世代”とともに、球界を支えているのが“89年世代”だ。この世代は、侍ジャパンで4番を務める中田翔(日本ハム)を筆頭に、現在防御率、奪三振でリーグトップに立つ菅野智之(巨人)、14年に最多安打のタイトルを獲得した中村晃(ソフトバンク)、好調の広島を支える菊池涼介(広島)、丸佳浩(広島)など実力者が揃う。
中日・田島は開幕から26試合連続無失点を記録
その中でも、開幕から26試合連続無失点のプロ野球記録に並んだ田島慎二(中日)の活躍が光る。田島は東海学園大から11年ドラフト3位で中日に入団。1年目からリリーフで存在感を示し、56試合に登板して、30ホールド、防御率1.15の成績を残した。
2年目と3年目は、制球難で苦しいシーズンを送ったが、4年目の昨季はチーム最多の64試合に登板し、シーズン終盤には抑えを務め、9セーブをマーク。そして今季は、勝ち試合の8回を任され、開幕から26試合連続で無失点に抑えている。
これまでは走者を出してから甘い球を痛打されるシーンが目立ったが、今季は得点圏に走者を背負っても力強いボールで相手をねじ伏せている。
楽天・岡島はリーグトップの打率をマーク
野手では、岡島豪郎が開幕から好調だ。白鴎大から11年ドラフト4位で楽天に入団した岡島は、プロ入り当初のポジションは捕手だった。得意の打撃を活かすため、13年途中から外野手に転向。シーズン後半から「1番・右翼」で出場し、規定打席に届かなかったものの、打率.323を記録し、球団初のリーグ優勝、日本一に大きく貢献した。
14年は打率こそ前年を下回る.283だったものの、自己最多の142試合に出場し、レギュラーに定着。さらなる活躍が期待された15年は、打撃不振と故障により自己ワーストの41試合の出場にとどまった。
迎えた今季は、昨季の鬱憤を晴らすかのように打ちまくっている。開幕戦で、いきなり4安打を放つと、安打を量産し高打率をキープ。4月中旬に腰を痛め登録抹消となったが、4月26日に再昇格すると、故障前と変わらぬ打撃を見せる。14日のロッテ戦で4安打、18日のオリックス戦で猛打賞と現在、打率はリーグトップの.364をマークしている。
“大学BIG3”と呼ばれた野村、藤岡も活躍
ドラフト時に菅野とともに“大学BIG3”と呼ばれていた野村祐輔(広島)、藤岡貴裕(ロッテ)の2人も開幕から安定した投球を見せる。
野村は12年に新人王、13年に二ケタ勝利を挙げるも、ここ2年は低迷。復活を期す今季は開幕ローテーションを掴み、ここまでリーグ2位タイの4勝、防御率は2.98を記録する。今季、イニング別の失点を見ると、6回の8失点が一番多いが、その他のイニングは2失点以内に抑えている。中盤以降も、立ち上がりのような投球を見せれば、防御率はさらに良くなりそうだ。
藤岡は即戦力左腕としてロッテに入団するも、先発で力を発揮できず、昨季途中からリリーフに転向した。この転向が上手くハマった。大学時代に見せた力強いストレートが戻り、今季はロングリリーフで存在感を見せる。
中田、菅野らを中心とした“89年世代”。球界を代表する選手が増えてきており、“88年世代”、“松坂世代”に続く最強世代と呼ばれる日も近そうだ。
【主な89年世代】
<投手>
藤岡貴裕(ロッテ)
唐川侑己(ロッテ)
益田直也(ロッテ)
東明大貴(オリックス)
由規(ヤクルト)
菅野智之(巨人)
高木勇人(巨人)
野村祐輔(広島)
田島慎二(中日)
田中健二朗(DeNA)
<捕手>
伊藤光(オリックス)
小林誠司(巨人)
<内野手>
中田翔(日本ハム)
鈴木大地(ロッテ)
菊池涼介(広島)
田中広輔(広島)
安部友裕(広島)
<外野手>
中村晃(ソフトバンク)
岡島豪郎(楽天)
丸佳浩(広島)