ニュース 2016.10.13. 11:30

元ヤクルト・ドラ1右腕が語る『短期決戦の難しさ』

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2011年のCSファイナルで先発の大役を務めた増渕竜義氏に『短期決戦』について聞いた(C)KYODO NEWS IMAGES

戦う選手たちはどう感じているのか...


 2016年のプロ野球もいよいよ大詰め。12日には日本シリーズ進出をかけたクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージが幕を開けた。

 “短期決戦”という部分が強調され、普段とはまた違った戦いになると言われるポストシーズンであるが、実際に戦場に立つ選手たちはどのように感じているのだろうか...。

 そこで、今回は現役時代にヤクルト、日本ハムで活躍した増渕竜義氏に『短期決戦』について聞いてみた。


普段とは全く違う“雰囲気”


 レギュラーシーズンとポストシーズンの一番の違い。それは、“負けたらシーズンが終わってしまう”ということ。

 選手全員が「今年最後」と思って試合をするわけですから、当然雰囲気も全く違います。試合はもちろん、試合前からものすごい緊迫感がありました。

 調整方法などは、レギュラーシーズンとはあまり変わりはありません。シリーズ前練習といった特別な全体練習はありますが、これも内容は普段と大幅に変わったことをするようなこともありません。

 ただ、説明はしづらいのですが、その空気が全く違うのです。

 選手やスタッフが闘志を燃やしているというか、近寄りがたいというか…。優勝、そして日本一を目指して、ようやくたどり着いた最終決戦なわけですから、気合いの入り方はものすごいです。


周りが気を使って声をかけてくれた


 私は2011年にCSファイナルステージの第1戦(vs.中日)に先発しました。

 レギュラーシーズンが終わり、CSが始まる前の練習の時にこの先発を伝えられました。前日の練習後に選手全員を集めて、当日のスタメンを発表。小川淳司監督(当時)から「全員で気持ちをひとつにして、失敗を恐れずに、全力で戦おう」と言われたのを覚えています。

 加えてコーチ陣からいろいろなシチュエーションを考えてのアドバイスをいただいたり、対戦相手の対策を練ってくたりして、すごく気を使って声をかけてくれました。

 大一番なのは選手もスタッフも一緒。全員の気持ちが張っているというか、これから勝負するんだという感じの雰囲気でしたね。


自分では平気なはずでも...


 迎えた試合当日。自分では平気なはずでしたが、なんか朝からいつもと違う感じというか、やはり緊張していたと思います。試合前になると、吐き気がするほど緊張してました。

 いざ試合が始まったらもう無我夢中でしたが、試合前までの間は味わったことのない緊張が続いたのを鮮明に覚えています。

 今まさに戦っている選手たちも、ものすごく緊張していると思いますし、普段以上に気合いが入っていることでしょう。まさに1球たりとも気が抜けない勝負です。

 見ているファンの方は見ごたえのある緊迫した試合に一喜一憂だと思いますが、やっている選手たちは大変です。1試合終わると精魂尽き果てたような感じですかね。それでも、すぐ次の日にはまた大一番の試合ですから。

 もちろん、この舞台に立てることは光栄なこと。ですが、想像以上に肉体的にも精神的にもきつい。それが短期決戦です。



▼ 増渕竜義・プロフィール
masubuchi

株式会社King Effect代表取締役。1988年5月3日生まれ、28歳。
同期に田中将大(ヤンキース)や前田健太(ドジャース)がいる“88世代”。
埼玉の公立校・鷲宮高校で1年生からエースとして活躍。
3年時には最速147キロをマークしたが、甲子園出場経験はなし。
2006年の高校生ドラフトで西武とヤクルトから1位指名を受け、抽選の結果ヤクルトに入団。
2013年までの7年間で先発・中継ぎに活躍し、通算157試合に登板した。
2014年にはトレードで日本ハムへと移籍。2015年に現役を引退。
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