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両リーグとも混戦の最多勝争い 14年ぶりに“15勝投手なし”の危機

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現時点で15勝に最も近いオリックス・金子千尋投手(写真右) © KYODO NEWS IMAGES
 両リーグとも佳境を迎えた優勝争い。同時に、個人タイトルにも興味が集まる時期だが、今季は両リーグとも、投手陣の勝ち星が伸び悩んでいる。

 15日時点の最多勝は、セ・リーグがランディ・メッセンジャー(阪神)、久保康友(DeNA)の12勝。パ・リーグが金子千尋(オリックス)の13勝と、20勝どころか、15勝にも届くかどうかのラインで争っている。

 15勝未満で同タイトルを獲得したのは、最近では2001年の藤井秀悟(当時ヤクルト)の14勝。両リーグとも15勝未満となると、2000年のメルビン・バンチ(当時中日)と松坂大輔(当時西武)の共に14勝以来、実に14年ぶりの事象となる。ちなみに2リーグ制となった1950年以降、最も低い数字での最多勝は、1998年のパ・リーグ。黒木知宏(当時ロッテ)、武田一浩(当時ダイエー)、西口文也(西武)の13勝。ただし、この年は135試合制。2000年も135試合、2001年も140試合だから、現在より先発するチャンス自体が少なかった。

 ここまで低い数字で争っている原因はいくつか考えられる。まずは主力投手たちの離脱の多さだ。最多勝経験のある吉見一起(中日)、館山昌平(ヤクルト)が、ともに手術の影響で開幕からアウト。また、同じく同賞の実績を持つ金子、摂津正(ソフトバンク)、内海哲也(巨人)。さらに未経験ながら、チームの主力である岸孝之(西武)、菅野智之(巨人)らも故障や調整を理由に、シーズン中の抹消経験がある。また、昨季のセ・リーグ新人王・小川泰弘(ヤクルト)も、4月に打球を手首に受け長期離脱。パの則本昂大(楽天)も不調により一時期先発を外れ、中継ぎでの調整を強いられた。

 一過性とはいえこれだけの主力投手が戦列を離れれば、混戦になるのは自明の理。だた、もう1つの理由として挙げられるのが、日本人投手のメジャー移籍だろう。単純に田中将大が(ヤンキース)が楽天に残留していれば、高確率で最多勝争いに絡んでいたはず(もちろん故障の可能性もあるが…)。彼が昨季マークした24勝の半分でも、今季のセ・リーグならトップタイだ。

 その田中とダルビッシュ有(レンジャーズ)は今季、故障により長期離脱を強いられたが、それでもともに早々と2ケタ勝利をクリア。また、岩隈久志(マリナーズ)はメジャー自己最多の15勝にあと1に迫っており、黒田博樹(ヤンキース)は5年連続の2ケタ勝利と相変わらずの安定感を誇っている。さらに、和田毅(カブス)も復活の兆しを見せており、日本人以外でも、中日時代に防御率のタイトルを獲得したチェン・ウェイン(オリオールズ)が、最多勝も狙える16勝と絶好調。かつて日本で凌ぎを削ったスターターたちは、海の向こうでも快調に白星を積み上げている。

 打線との兼ね合いや投球制限の徹底など、細かい理由は他にも考えられるが、前述の人材流出に故障者が重なったことが、最多勝争いが低レベル化してしまった大きな要因と言える。その中で、大谷翔平(日本ハム)や藤浪晋太郎(阪神)など、次世代を担う投手の台頭があり、逆に日本人投手の活躍で、メジャー側のプロ野球を見る目も変わりつつある。そういう意味では”15勝投手なし”の危機は、そこまで悲観することでもないのかもしれない。
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