コラム

ゴールデンルーキー松井裕樹に見られる成長のあと

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ピンチを切り抜け、ガッツポーズする楽天・松井裕=8月13日・ヤフオクドーム© KYODO NEWS IMAGES

江夏以来の高卒新人左腕100奪三振 躍動感あふれるフォームが戻ってきた


 8月26日の西武戦で、ドラフト制導入以降の高卒新人では最長となる71回1/3無被本塁打の記録を樹立した松井裕樹(楽天)。9月8日のオリックス戦では、高卒新人左腕として67年江夏豊以来のシーズン100奪三振を達成した。快記録を達成した松井だが、星野仙一監督の評価はなかなか上がってこない。8日の試合も「反省がない。高校生のままだよ。ええ加減にせえよ、先発外すかもしれん」とバッサリだ。

 星野監督の怒りの一因は、与四球の多さだ。8日の試合では、5回2アウト無走者から伊藤光に四球を与え、そこから4失点。星野監督が怒るのも無理はないが、松井が成長している部分もある。

 松井が開幕から6月6日に1軍登録を抹消されるまでに登板した4試合の与四球率は11.17。それが1軍復帰後の19試合では5.27。まだ多い方だが、7月30日のソフトバンク戦では7回3四球、8月26日の西武戦では7回1四球とまとまったピッチングの試合もある。開幕当初は制球を意識しすぎたせいか、全体的に小ぢんまりとしたフォームだったが、最近は桐光学園時代のような腕を思いきり振る、松井本来のフォームが戻ってきた。制球力、制球力と言い過ぎると、また小ぢんまりとしたフォームになってしまわないか心配だ。制球が多少乱れても、腕を思いきり振って投げるほうが、相手打者も嫌がるだろう。

精度が増したチェンジアップ 着実にステップアップしている松井


 桐光学園時代の松井は、ストレートとスライダー、カーブを投げていた。チェンジアップも投げてはいたが、武器として使えているとは言えず、左打者にはほとんど投げていなかった。しかし、昨年の夏の甲子園後、高校日本代表の一員として挑んだ18Uワールドカップで、大阪桐蔭の森友哉(現西武)とバッテリーを組んだ松井は新たな姿を見せた。左打者と対する時でもチェンジアップを投げ、何球か空振りも奪ったのである。

 プロ入り後はチェンジアップの精度がさらに上がり、打者の左右問わず苦もなく投げられるようになった。ストレートでファウルを打たせ、チェンジアップで空振り三振に打ち取る。桐光学園時代はほとんど見られなかったそんなシーンを何度も見た。

 2勝7敗という数字は、期待の大きさから言えば不満に思うファンもいるだろう。しかし、プロ野球の世界でもがきながらも、本来の腕の振りを取り戻し、高校時代はほとんど投げられなかった球種に磨きもかけた。少しずつではあるが、着実にステップアップしている松井裕樹。気が早いが、来季はどれほど進化したピッチングを見せてくれるか、今から楽しみだ。
(記録はすべて9月12日時点)

文=京都純典(みやこ・すみのり)
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