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中日・浜田の離脱に見る、阪神の危機管理能力

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かつて「ビッグ3」と呼ばれた高校時代の3人。左から中日・浜田(愛工大名電)、阪神・藤浪(大阪桐蔭)、日本ハム・大谷(花巻東)=2012年8月27日・大阪市内© KYODO NEWS IMAGES
 8月下旬、ショッキングな情報が飛び込んできた。8月26日のDeNA戦に先発した中日の浜田達郎が11球で緊急降板。翌日、「左肘内側側副靱帯(じんたい)損傷」と診断され、長期離脱を余儀なくされた。

 今春の北谷キャンプを視察したが、浜田は楽しみな存在だった。一軍キャンプに最後まで帯同し、ブルペン入り時は連日背後から、落合博満GM、森繁和ヘッドコーチ、杉下茂終身名誉投手コーチらが熱視線を送り、谷繁元信兼任監督も定期的に自らボールを受け、「浜ちゃん、ナイスボール!」との声がブルペンに響いていた。キャンプ期間でのブルペン投球数は2167球。これは当初から予定していたものではなく、「気づけば毎日ブルペンに入り、自然と投げられた」とのこと。キャンプ総括では「最後まで一軍にいれた。70点です」と自己採点し、充実した表情で沖縄をあとにした。

 だからこそ、今シーズンの浜田の飛躍は嬉しかった。4月29日のDeNA戦で一軍デビュー。さらに川上憲伸の先発回避によってプロ初先発となった5月7日の阪神戦で、いきなり初勝利を初完封で飾った。7月9日の巨人戦でも、白星こそ掴めなかったが強力打線を8回途中3失点。瞬く間に5勝を積み上げ、一時は新人王候補とまで言われた。そんな矢先…の離脱だった。

 確かに交流戦から先発ローテーションに入り、登板間隔はしっかり配慮されていた。しかし、キャンプからのオーバーワークが肘への負担となり、件の離脱に繋がった可能性はもちろんある。高卒2年目とは言え、実績のないアピールが必要な立場なのだから、多少の無茶も致し方なかったのかもしれない。

 前振りが長くなったが、ここで阪神の藤浪晋太郎である。浜田とは高校時代、日本ハムの大谷翔平とともに“高校BIG3”と騒がれた。藤浪は1年目から10勝を挙げたが、その中で首脳陣はしっかりと投球制限を設け、大事に育ててきた。その方針に「過保護だ」との批判も出たが、いま考えると、その判断は賢明なものだったと思う。

 今季は防御率が昨季より悪化し、さらに直近の登板は4連敗中と黒星続きだが、それでも8勝(8敗)をマーク。すでに昨季の137回2/3超えとなる141イニングを投げており、高卒2年目ながらローテーションに穴をけることなく先発陣を支えている。さらに、2年連続の2ケタ勝利達成となれば、セ・リーグでは昨季の高卒新人2ケタ勝利と同じく、江夏豊氏以来46年ぶり。セ・パ両リーグで見ても、松坂大輔(現メッツ)以来となり、北京五輪の影響で、2年目は9勝止まりだった田中将大(現ヤンキース)ですら成し遂げられなかった快挙となる。

 現在のチーム状態と藤浪の素質を鑑みれば、「それでも物足りない」「大事な試合で勝てる投手に」と願うファン心理も理解できる。しかし、浜田だけではなく、これまで何人ものスター候補が故障に泣き、その力を発揮できぬまま球界から姿を消してきた。その中で、藤浪にはあと4試合前後の先発が予想されており、やり返すチャンスが残されている。

 少なくとも、その機会を作り出している藤浪自身のアジャスト能力とチームスタッフの実績は、素直に評価されるべきだと思う。
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