コラム

勝負の8月に歴史的大失速… 中日にいったい何が起きた?

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8月29日の広島戦、延長11回に悪送球で勝ち越し点を献上した中日=ナゴヤドーム© KYODO NEWS IMAGES

月間ワーストタイの20敗 リーグ屈指の投手陣も過去の話


 ここ数年、8月以降に強さを発揮し、10年、11年には大逆転でペナントを制してきた中日。今季も7月終了時点で首位巨人とは5ゲーム差の貯金2。夏場に強い中日がどのような戦いを見せるか注目された。しかし、結果は8月を7勝20敗。月間20敗以上を記録したのは05年8月の楽天(21敗)以来9年ぶり。セ・リーグでは90年8月の阪神などと並ぶワースト記録という歴史的失速となった。

 8月6日の広島戦で、中心選手の和田一浩と岩瀬仁紀がケガで離脱。チームの精神的柱を失ったことも響いたが、失速の大きな要因の一つは投手陣の与四死球増加があげられる。

 8月の27試合で中日投手陣が与えた四死球は118でセ・リーグワースト。中日の次に多かったヤクルト投手陣でも25試合で94与四死球。8月31日の広島戦は、失点のすべてが四球をきっかけにしたものだったが、8月はそういった場面が何度も見られた。

 中日投手陣の与四球数の多さは8月に限ったことではない。今季の与四球数444、与四球率3.60はともにリーグワースト。昨季もセ・リーグでDeNAに次いで多い495個の四球を与えたが(与四球率は3.43)、今季はそれを上回る計算だ。最下位に終わった97年は球団史上最多の519四球を与えたが、このままいくと不名誉な記録を塗り替えてしまうかもしれない。

 セ・リーグ連覇を果たした11年は316与四球、12年は324与四球とセ・リーグ最少だった。投手に有利な統一球を使っていた影響もあるだろうが、150個近くも増えてしまっては苦しい戦いになるのも無理はない。投手王国の立て直しに、まずは制球力のアップが欠かせないのである。


先発投手陣の整備が急務 希望は守備力の向上


 制球力のアップとともに先発投手陣の整備も必要である。先発投手が6イニング以上投げ自責点3以下に抑えた、いわゆるクオリティスタートを達成した試合が8月は8試合しかなかった。シーズンを通してもQS%は48.4%で、ヤクルトに次いでセ・リーグ5位。エースの吉見一起がケガで離脱しているといっても寂しい数字だ。

 また、先発で起用した投手の数がヤクルトと並んでセ・リーグ最多の15人。ローテーションを固定できないことからも台所事情の苦しさがわかる。

 厳しい数字を並べたが、希望もある。本塁打を除いたグラウンド上に飛んだ打球を、野手がどれだけアウトにしたかを表す指標DER(Defense Efficiency Ratio)が、昨季はセ・リーグ4位の.688だったが、今季は.698でリーグトップ。失策数も63で巨人に次いで少ない。長年内野の要としてチームを支えてきた井端弘和が退団したが、数字の面での守備力は昨年より上がっているのが数字から見えてくる。

 谷繁元信選手兼任監督が掲げる「守りの野球」。そのためには、投手陣をどう立て直すかがキーとなることは間違いない。このオフ、落合博満GMはどういった策を打ち出すだろうか。
(数字はすべて9月5日時点)

文=京都純典(みやこ・すみのり)
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