特大本塁打で圧巻のデビュー 暑い夏場を迎え調子も上昇!
ペナントレースも各球団残り30試合前後となり、優勝の行方とともに気になるのが個人タイトル争いだ。8月31日現在、パ・リーグの本塁打王争いはペーニャ(オリックス)と中村剛也(西武)が28本でトップだが、注目したいのは1本差で2人を追っているメヒア(西武)だ。
メヒアは、今季の開幕をMLBアトランタ・ブレーブス傘下のAAAグウィネットで迎えた。20試合に出場し打率.354、7本塁打と結果を残していたメヒアに助けを求めたのが、開幕ダッシュに失敗した西武。
4月30日に入団が発表され、1軍初出場は5月15日の日本ハム戦。5番DHでスタメン出場すると第1打席で上沢直之からレフトへソロ本塁打を放った。日本プロ野球史上56人目、西武では2011年のマルハーン以来となる初打席初本塁打だった。その後、6月は打率.222と調子を落としたが、7月は打率.321、8本塁打、8月は打率.283で本塁打は11本。夏場を迎え、メヒアのバットから快音が次々に聞かれるようになる。
実は、途中入団の選手が本塁打王を獲得すれば史上初の快挙。まだ規定打席には達していないが、規定打席未満でのシーズン最多本塁打は1988年ブライアント(近鉄)の34本。規定打席未満での本塁打王となれば2012年のバレンティン(ヤクルト)以来、2リーグ制後では2人目となる(メヒアの打席数は333で、規定打席の446打席まで113。今後、全試合に出場し1試合あたり4.03打席以上立てば規定打席に到達する計算)。
凡打数より安打数のほうが多い 相手バッテリーは初球の入り方に注意を
本塁打を量産する一方、三振もパ・リーグ2位の117と多いメヒアだが、打率は.307と高い。90安打、117三振で凡打の数は86。凡打数よりも安打数のほうが多いという珍しいタイプのバッターだ。凡打の内容は、内野ゴロ30、外野フライ38、内野フライ20でゴロとフライの割合(*GO/AO)が0.51。昨季、シーズン本塁打の日本記録を更新したバレンティンのGO/AOが0.84。メヒアはバレンティン(ヤクルト)よりも長距離打者の資質があるといっても過言ではない。
カウント別打率を見ると、ファーストストライクを振ったときの打率が.462と驚異的な数字だ。特に、1ボール時は21打数13安打3本塁打と高く、ストライクを取りにきた球を確実にとらえている。また、打球の方向は、左方向が54%、センター方向が24%、右方向が22%と典型的なプルヒッター(引っ張り型)。外角の球に合わせてライト方向へ流すこともあまりせず、強引にレフト方向へ引っ張る豪快なスタイルである。
西武の残り試合は28。チームとしてはクライマックスシリーズ進出も絶望的だが、メヒアがどれだけアーチを描けるか、注目に値するだろう。
(成績はすべて8月31日現在)
*GO/AO=ゴロアウトとフライアウトの割合。数値が大きいほどゴロアウトが多く、小さいほどフライアウトが多い長距離打者タイプ。
文=京都純典(みやこ・すみのり)