安定した投球で年々評価を高めているマリナーズの岩隈久志投手。抜群の制球力は、すでにメジャーでも広く知れ渡るところだが、米統計サイト「fangraphs」では、岩隈の制球力を象徴する隠れた大記録について特集している。
同サイトの特集では、岩隈とツインズのP・ヒューズが残している今季の勝利数と四球数に注目。岩隈は14勝・14四球、ヒューズが15勝・15四球の成績(ともに現地時間9月9日時点)で、ともに勝利数と四球数が同じ数である。実はこの数字がすごい。
過去に勝利数が与四球数を上回った投手は、メジャーの長い歴史の中でもわずか3人。クリスティー・マシューソン(1913年に25勝・21四球、1914年に24勝・23四球)、スリム・サリー(1919年に21勝・20四球)、ブレット・セイバーヘーゲン(1994年に14勝・13四球)だけである。勝利数と四球数が同数だったのはカルロス・シウバ(2005年に9勝・9四球)がいる。もし、岩隈とヒューズがこのまま勝利数と四球数の関係を維持できれば、近代野球ではセイバーヘーゲン、シウバに次ぐ大記録となる。
(※記録は規定投球回到達選手のみを対象)
この記録はどれだけすごいのか。例えば、現在メジャーNo.1投手の呼び声が高いドジャースのC・カーショーは18勝・27四球、ホワイトソックスのC・セールが11勝・32四球、マリナーズの“キング”F・フェルナンデスが14勝・41四球という成績である。この3投手は今季のMLB防御率のトップ3であるとともに、それぞれ制球力が良い投手だと認識されている。もし、カーショーが記録を達成するには、あと9勝を積み重ね、その上で四球を一つも与えないことが条件になる。勝利数が四球の数を上回ることの難しさが、少しお分かり頂けただろう。
(※参考 ヤンキースの田中将大は12勝・19四球)
日本のプロ野球に目を向けると、オリックス西勇輝投手の12勝・28四球、ライオンズ岸孝之投手の11勝・32四球が最も優れた数字を残している。ただ、「歩かせる」という言葉が象徴するように、日本野球では四球を作戦として用いる傾向が強く、アメリカとは四球に対する考え方が大きくかけ離れている。その点は考慮すべきだが、日本のプロ野球と比べても、岩隈やヒューズが圧倒的な記録を残していることは疑いようがない事実である。
ちなみに「あの大投手は達成していないのか?」と気になっているメジャー・リーグファンも多いかもしれない。そう、抜群の制球力で『精密機械』と称された、殿堂入り投手のグレグ・マダックスである。実のところ、マダックスは1997年に19勝・20四球だったが、そのうち敬遠四球が6個記録されている。敬遠四球を除けば…という状況ではあるが、スポーツに「たら」「れば」は禁物。記録の上では、あのマダックスでさえ達成出来なかったのである。
岩隈が所属するマリナーズ、ヒューズ所属のツインズ、ともに今季の残り試合数が20試合を切り、両投手とも3~4試合の登板があるだろう。一つ心配事があるとすれば、マリナーズがポストシーズン進出の当落線上にいること。残りの試合は全て重要な試合となるため、プレッシャーの大きさや戦略的な四球が岩隈の記録達成を阻む可能性がある。ヒューズの方が自身のピッチングに専念できる環境にあることは間違いない。
とはいえ、岩隈のコントロールも半端じゃないレベル。岩隈がメジャー史に名前を刻むのか、残りの登板では四球に注目しても見るのも面白い。
同サイトの特集では、岩隈とツインズのP・ヒューズが残している今季の勝利数と四球数に注目。岩隈は14勝・14四球、ヒューズが15勝・15四球の成績(ともに現地時間9月9日時点)で、ともに勝利数と四球数が同じ数である。実はこの数字がすごい。
過去に勝利数が与四球数を上回った投手は、メジャーの長い歴史の中でもわずか3人。クリスティー・マシューソン(1913年に25勝・21四球、1914年に24勝・23四球)、スリム・サリー(1919年に21勝・20四球)、ブレット・セイバーヘーゲン(1994年に14勝・13四球)だけである。勝利数と四球数が同数だったのはカルロス・シウバ(2005年に9勝・9四球)がいる。もし、岩隈とヒューズがこのまま勝利数と四球数の関係を維持できれば、近代野球ではセイバーヘーゲン、シウバに次ぐ大記録となる。
この記録はどれだけすごいのか。例えば、現在メジャーNo.1投手の呼び声が高いドジャースのC・カーショーは18勝・27四球、ホワイトソックスのC・セールが11勝・32四球、マリナーズの“キング”F・フェルナンデスが14勝・41四球という成績である。この3投手は今季のMLB防御率のトップ3であるとともに、それぞれ制球力が良い投手だと認識されている。もし、カーショーが記録を達成するには、あと9勝を積み重ね、その上で四球を一つも与えないことが条件になる。勝利数が四球の数を上回ることの難しさが、少しお分かり頂けただろう。
(※参考 ヤンキースの田中将大は12勝・19四球)
日本のプロ野球に目を向けると、オリックス西勇輝投手の12勝・28四球、ライオンズ岸孝之投手の11勝・32四球が最も優れた数字を残している。ただ、「歩かせる」という言葉が象徴するように、日本野球では四球を作戦として用いる傾向が強く、アメリカとは四球に対する考え方が大きくかけ離れている。その点は考慮すべきだが、日本のプロ野球と比べても、岩隈やヒューズが圧倒的な記録を残していることは疑いようがない事実である。
ちなみに「あの大投手は達成していないのか?」と気になっているメジャー・リーグファンも多いかもしれない。そう、抜群の制球力で『精密機械』と称された、殿堂入り投手のグレグ・マダックスである。実のところ、マダックスは1997年に19勝・20四球だったが、そのうち敬遠四球が6個記録されている。敬遠四球を除けば…という状況ではあるが、スポーツに「たら」「れば」は禁物。記録の上では、あのマダックスでさえ達成出来なかったのである。
岩隈が所属するマリナーズ、ヒューズ所属のツインズ、ともに今季の残り試合数が20試合を切り、両投手とも3~4試合の登板があるだろう。一つ心配事があるとすれば、マリナーズがポストシーズン進出の当落線上にいること。残りの試合は全て重要な試合となるため、プレッシャーの大きさや戦略的な四球が岩隈の記録達成を阻む可能性がある。ヒューズの方が自身のピッチングに専念できる環境にあることは間違いない。
とはいえ、岩隈のコントロールも半端じゃないレベル。岩隈がメジャー史に名前を刻むのか、残りの登板では四球に注目しても見るのも面白い。