コラム 2015.07.16. 18:00

日本時代は“安打製造機”、日本人打者3人の今季前半戦

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今後も活躍が期待される左からイチロー、青木宣親、川崎宗則[Getty Images]
イチロー,青木宣親,川崎宗則

イチロー、青木、川崎、3人の共通点


 投手に比べてメジャーでの成功が難しいと言われる日本人打者。現在イチロー(マーリンズ)、青木宣親(ジャイアンツ)、川崎宗則(ブルージェイズ)の左打者3人が生き残っている。3人には日本時代にリーグ最多安打と盗塁王を同一シーズンに獲得しているという共通点がある。3人の今季前半戦を振り返ってみた。

 イチローは4番手外野手として開幕を迎えたが、イエリッチの故障などもあり春先は先発する機会も多かった。一時は3割近い打率をキープし、レギュラー起用待望論もあったが、イエリッチが復帰すると代打へと出戻り。スタントンのケガで再びチャンスは巡ってきたが、結果を残すことができず苦しい前半戦を終えた。

 月ごとの三振率の変遷を見ると、4月から8.1%→10.9%→18.0%→27.8%と6月以降に急増。持ち前の足を生かした内野安打も6月18日を最後に1カ月近く生まれていない。不振の原因は「初のナ・リーグ」への戸惑いと「代打起用」という1打席勝負に慣れていないこともあるだろう。

 スイング率は通算48.0%(2球に1球近くスイング)に対して、今季は42.2%。ストライクゾーンでのスイング率も通算67.1%に対して今季は57.5%である。ともにメジャー15年間で最も低い数字となっている。1試合4打席勝負とは違い、1球でも多く見たいという心理が働き長所の積極性がかき消されている印象だ。

 青木は2年ぶりのナ・リーグ復帰で渡米後もっとも充実したシーズンを送っている。先月下旬に戦列を離れたが、今月末には戻ってこられそうだ。打率と出塁率はともに自己ベストを更新する勢いだが、青木の活躍がチームの勝利に直結している点はもっと強調されるべきだろう。

 今季2安打以上マークした試合でチームは16勝9敗と7つの貯金を作っている一方、無安打の試合は7勝11敗と負け越している。ただし復帰したとしてもジャイアンツの外野手の層は厚く、無安打が続けばスタメンを外されるケースも十分考えられる。4番手外野手のブランコは打率と出塁率は青木とほぼ同じ。そして長打率は青木の.385に対してブランコは.434と上回っている。渡米後最高の成績を残しているとはいえ、チーム内の競争もし烈なのだ。

 3人目の打者は現在日本人唯一の内野手でもある川崎だ。いい意味でも悪い意味でもチームにとって使い勝手の良い選手で、レギュラー内野手の故障など緊急時にメジャー昇格するも、その選手が復帰すればマイナーに降格するというサイクルになっている。

 ただしチームメートやファンから愛されるキャラクターは相変わらずで、ロースター枠が拡大する9月以降は常時ベンチ入りするだろう。久々のプレーオフを狙うブルージェイズにとって川崎のようなムードメーカーは重要になるはずだ。6月下旬に3Aに降格した後も、9試合で打率.310、2盗塁と腐らず結果を残している。

 日本時代に安打製造機ともいわれた3人。日本で同一シーズンに最多安打と盗塁王に輝いた共通点もあるが、現在はそれぞれのチーム事情の中で常に全力でプレーするという姿もオーバーラップする。後半戦はどんな活躍を見せてくれるだろうか。

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