投手の父子鷹の成功例は少ない?
メジャーリーグは、その長い歴史の中で多くの父子鷹を生んできた。代表例としてボビー(通算332本塁打)&バリー・ボンズ(同762本塁打)やケン・グリフィー・シニア(152本塁打)&ジュニア(630本塁打)などを思いつくファンも多いだろう。他に息子2人が活躍したアロマー父子、3世代にわたって4人すべてが通算100本塁打を記録したブーン一家、セシル&プリンス・フィルダーなどもいる。
ここまで挙げた父子鷹はすべて打者だということに気付いただろうか。打者に比べるとともに投手として活躍した父子鷹は多くない。メル(164勝)&トッド・ストットルマイヤー(138勝)やフロイド(134勝)&ブライアン・バニスター(37勝)などがいるが、ボンズ父子のような大成功例はまだない。
そんななか、2013年限りで引退したあの名投手の息子が今年プロ1年目を終えた。1995年から2013年にかけてヤンキース一筋で活躍したマリアノ・リベラの息子、その名もマリアノ・リベラ・ジュニアだ。6月のドラフトでナショナルズから4巡目(全体134位)で指名を受けた。実は大学2年生だった2014年のドラフトではヤンキースから29巡目で指名を受けたが、大学に残ることを選択していた。
1年で評価を大幅に上げて、今回は晴れてメジャーリーガーへの第一歩を踏み出した“ジュニア”。マイナーでのデビューはドラフトから2週間もたたない6月23日にやってきた。シングルAの一戦でリリーフ登板を果たし、2イニングを無失点(2安打、4三振)で切り抜けた。6日後の2戦目ではプロ初失点を喫したが3イニングを1点でしのいだ。その後の3試合は先発に回ったが、計9イニングで15失点(自責点13)と結果が出ず、再びリリーフに回った。
リリーフに戻ると安定した投球が続き、結局19試合、1勝2敗、防御率5.45で1年目を終えた。先発では防御率13.00と散々だったが、リリーフ時は防御率2.63、5度のセーブ機会をすべて成功させるなど、父の姿を感じさせる数字を残した。しかしドラフト4巡目という評価や180cm、70kgという華奢(きゃしゃ)な体形から、メジャー昇格は遠い道のりとなるだろう。
それでも父のDNAを受け継ぎ、1年目にまずまずの成績を残したことで手応えは感じているはずだ。振り返れば父もメジャーデビューは25歳と、比較的遅咲きだった。27歳で迎えた3年目にクローザーとして定着し、そこから652ものセーブを積み重ねた。
“メジャー史上最高のクローザー”を父に持ち、父を超えることはおろか、近づくことさえ容易なことではない。それでもメジャーの扉は遠くにぼんやり見えたに違いない。数年後、大舞台に立つ“マリアノ・リベラ”の姿を日本のファンも心待ちにしている。