コラム 2015.11.24. 11:31

プロで惜しくも輝けなかった「たられば選手」岩見優輝

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広島を戦力外となった岩見優輝 [BASEBALLKING]
岩見優輝,

自尊心をむき出しにしていたサウスポー


 類まれな才能をもちながら、プロでは花開くことなく去ることになった選手がいる。もし、あの時に歯車が噛み合っていたら……。もし、あの時に故障がなければ……。勝負の世界では禁句とされる「たら・れば」を思わず口にしたくなってしまう、そんな「たられば選手」。今回は岩見優輝(広島)を取り上げてみたい。

 2010年ドラフト3位で広島に入団した岩見。プロ入り後の投球を見た関係者のつぶやきが忘れられない。

「ちょっと、これでは厳しいな。亜細亜の時にプロ入りできていればなぁ……」

 岩見の名前が最初に知れ渡ったのは高校時代だ。熊本工のエースとして2004年春のセンバツに出場した岩見は、初戦で大会ナンバーワン投手と目された東北高・ダルビッシュ有(現・レンジャーズ)と投げ合った。当時の岩見は横手の角度から両コーナーの揺さぶりで勝負するサウスポー。被安打4、失点2(自責点0)と好投したものの、打線がダルビッシュにノーヒットノーランに抑えられた。惜敗を喫したとはいえ、小気味いい岩見の投球を覚えている高校野球ファンも多いに違いない。

 同年秋にプロ志望届を提出しながら指名漏れに終わり、東都大学リーグの名門・亜細亜大に進学する。そしてこの時に忘れられない出来事があった。

 岩見と同期のスラッガー・岩本貴裕(現・広島)について取材をしていた時のこと。「同期の選手から見た岩本」というテーマで、当時大学4年生の岩見にも話を聞かせてほしいと依頼したことがあった。インタビュー部屋に入室した岩見に取材主旨を説明すると、みるみる表情が曇っていくのがわかった。口にこそ出さなかったが、「オレの取材じゃないのかよ?」と言いたいことは、こちらにはっきりと伝わってきた。岩本についてのコメントはもらえたが、岩見は終始、ブスっとしていた。

 取材後、亜細亜大の同僚選手に聞くと、「岩見はプライドが強いですからね。自分の取材じゃないとなれば、そうなっちゃうかもしれないですね……」と言われた。岩見に悪いことをしたと思うと同時に、大学生にしてここまで強い自尊心をもっている選手がいるということに、感動すら覚えた。

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微妙なさじ加減で成り立っていた岩見のフォーム


 取材後、亜細亜大のリーグ戦壮行会に出席させてもらうと、岩見と同じテーブルになった。岩見は相変わらずふてくされていたものの、「今度は岩見くん自身の取材で話を聞かせてください」と言うと、苦笑を浮かべながらビールを注いでくれた。その直後、岩見はリーグ戦で5勝を挙げる大活躍を見せ、「岩見くん自身の取材」はすぐさま実現した。

 大学4年時、状態を上げていた岩見は「ドラフト上位間違いなし」と見られていた。だが、岩見はプロ志望届を提出せず、大阪ガスに進むことを表明する。一時期フォームを崩していた自分を見捨てずに勧誘してくれた大阪ガスに恩返しがしたい――。岩見はそう言って、社会人に入社した。

 しかし、社会人を経て2年後にプロ入りした岩見のボールは、本来の威力を失っていた。あまつさえ故障にも悩まされ、広島では通算5年間でわずか11試合の登板にとどまり、1勝0敗、防御率4.02。今季シーズン終了後に戦力外通告を受けた。

 岩見の投球フォームは、繊細なメカニズムで成り立っている。高校時代はバックスイングを大きく取るサイドスローだったが、大学でフォームを崩して、一からつくり直した。テークバックをコンパクトにして、横振りだった腰の回転も縦回転に。結果、ストレートのスピードは10キロ以上速くなり、ボールの出所の見えづらいフォームになった。

 大学4年時の最もいい状態でプロに挑戦できていたら……。あの勝気な性格は確実にプロ向きだっただけに、貴重な左腕として戦力になっていたのかもしれない。結局、フォームを自分のものにできなかったと言われればそれまでだが、あまりに惜しい才能だった。

 11月10日に行われた12球団合同トライアウトを受験しなかった岩見。今後の去就はまだ発表されていないが、あの強気のピッチングをもう一度見てみたい。

文=菊地高弘(きくち・たかひろ)

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