福本は13年連続で盗塁王
巨人の鈴木尚広外野手は、「足のスペシャリスト」と呼ばれている。足を武器に年俸6000万円(推定)を稼ぐ。代走での盗塁日本記録保持者だ。また、一度も規定打席に達したことのない選手が200盗塁(現在218)以上を達成したのも、鈴木だけ。相手バッテリーが警戒していても盗塁を決めてみせる。まさに現代の「キング・オブ・スチール」なのだ。
日本の盗塁王といえば、福本豊をまず思い出すだろう。阪急ブレーブス入団が1969年。翌70年からセンターでレギュラーを獲得し、その年から13年連続盗塁王を獲得。王貞治の13年連続本塁打王に匹敵するといわれた。
また、現役生活通算20年で積み上げた盗塁数1065は、当時の世界記録で「世界の福本」と称された。通算安打も2543本。三塁打115も日本記録。足の速さは天下一品で、長池、山田、加藤らと阪急黄金期を作りあげた。
その年度別盗塁数はというと、
69年:4盗塁
70年:75盗塁 ☆
71年:67盗塁 ☆
72年:106盗塁 ☆
73年:95盗塁 ☆
74年:94盗塁 ☆
75年:63盗塁 ☆
76年:62盗塁 ☆
77年:61盗塁 ☆
78年:70盗塁 ☆
79年:60盗塁 ☆
80年:54盗塁 ☆
81年:54盗塁 ☆
82年:54盗塁 ☆
83年:55盗塁
84年:36盗塁
85年:23盗塁
86年:23盗塁
87年:6盗塁
88年:3盗塁
※☆は盗塁王
72年の106盗塁は、シーズン最多盗塁として今でも日本記録だ。それにしても、圧倒的な盗塁数。ここ数年のセパ両リーグの盗塁王をみても、30個ぐらい。福本みたいなバッターが1番にいれば、それは強い。
福本以前に、パリーグには広瀬叔功という選手が南海にいた。「鷹の爪」と呼ばれ、5年連続盗塁王を獲得するなど、足は早かった。64年には打率.366で首位打者にも輝いた。
セリーグには、巨人の柴田勲がいた。「赤い手袋」を着用してプレーしたことは有名で、盗塁王6度。通算579盗塁はセリーグ記録だ。甘いマスクで女性に大人気で、「銀座の盗塁王」といわれたこともあった。
巨人にはもう一人、快足ランナーがいた。「青い稲妻」こと松本匡史。83年の76盗塁は、セリーグのシーズン最多記録。一塁に出ると、うるさい走者で、相手に嫌がられた。近鉄には大石大二郎がいた。83年、福本の14年連続盗塁王を阻止する60盗塁をマーク。4度盗塁王に輝いた。「打撃やピッチングにスランプはあっても、足にスランプはない」。よく聞いた言葉だが、そのとおりだろう。