あらゆる成績で自己ワーストを記録した昨季
セ・リーグ最低のチーム打率.243。2014年はリーグ2位だった144本塁打が、昨季は同4位の98本に減った巨人。打率と本塁打の両方がリーグ4位以下だったのは1993年以来22年ぶりである。
また、昨季のチーム最多本塁打者は阿部慎之助と長野久義の15本だが、巨人でシーズン20本塁打以上が不在だったのは1960年以来55年ぶりのことだった。
チーム防御率2.78は両リーグトップだったことから、球団史上に残る貧打の復調がV奪回のカギを握っているのは言うまでもない。そのキーマンのひとりとして高橋由伸新監督が名前を挙げているのが長野久義だ。
昨季の長野は、シーズンを通して調子が上がらず、本塁打こそ14年の13本から15本に増えたものの、打率.251、109安打、52打点、出塁率.310、3盗塁はいずれも自己ワーストだった。とくに打率は14年の.297から5分近くも下がってしまった。
14年はフルカウント時の打率が.324だったが、昨季は.158。フルカウント時の三振と四球の割合も2014年の9三振20四球から、11三振15四球と三振の割合が増えた。
0ストライクを打った時の打率は.371から.404に上がったが、2ストライク時の打率は.223から.155に下がった。追い込まれた時に淡白な打撃になってしまったことが、スランプの一因だ。
昨季の不調から脱し、プロ野球史上初の記録達成なるか?
昨季は不調に陥った長野だが、プロ通算1000安打まで残り124本まで迫っている。昨季の安打数では届かないが、到達となればプロ7年での大台だ。1000安打到達の最短年数は15年マートン(阪神)の6年だが、日本人選手では10年鳥谷敬(阪神)など過去8人が記録した7年である。巨人では64年長嶋茂雄、04年高橋由伸に次いで3人目の快挙となる。
そして、もうひとつ。長野はプロ1年目から6年連続で二塁打を20本以上記録している。今季もシーズン20本以上の二塁打を記録すれば、日本人選手では55~66年榎本喜八(東京)に次いでふたり目のプロ1年目から7年連続シーズン20二塁打以上となる。榎本は本塁打が二ケタに届かないシーズンもあったが、長野はプロ入り以降二ケタ本塁打も続けている。プロ1年目から二ケタ本塁打&20二塁打以上が7年連続となれば、史上初の記録だ。
今季から選手会長となった長野。新外国人のギャレットや、新人ながら積極的な打撃と驚異的な走塁がキャンプで話題となっている重信慎之助など、外野手のライバルも増えた。そのなかで、どういった結果を残すか。V奪回のキーマンとして期待がかかる。
文=京都純典(みやこ・すみのり)