ブラッドリーの記録がストップ…
現地時間26日、レッドソックス-ロッキーズの試合で一つの記録が途切れた。
レッドソックスの外野手ジャッキー・ブラッドリーJr.が4打席ノーヒットに終わり、連続試合安打が「29」で止まったのだ。
1941年に天才打者ジョー・ディマジオが打ち立てた56試合連続には27試合も及ばない記録にもかかわらず、全米で注目され始めた矢先の記録ストップ。ブラッドリーは再びゼロからの出発となるが、再びこの記録へ挑むというのは困難を極めることだろう。
現代の野球には、達成がほぼ不可能といわれる記録がいくつかある。
夢の4割打者や、シーズン30勝投手。そして、ディマジオが保持する56試合連続安打もそのうちの一つだ。
彼を含めて30試合連続安打を記録した選手は過去にのべ55人いるが、そのうち約36%にあたる20人が30試合でストップ。半数を超える30人が、31試合でストップしている。
稀代のヒットメーカー・イチローですら、最長は2009年にマークした27試合。連続して安打を打ち続けることの難しさがお分かりいただけるだろう。
“守備の人”が打撃開眼
今回、大記録を目指したブラッドリーだが、実は昨シーズン前半までは打撃は“さっぱり”という選手だった。
デビューした2013年は、37試合で打率.189。翌年も127試合に出場するも、打率は.198といずれも2割に届かず。昨年もオールスター前まで.133と、打撃への期待値はほぼゼロという“守備の人”だった。
ところが、後半戦に入って突然の開花。8月に月間打率.354をマークすると、今季はレギュラーとして開幕を迎えた。
それでも、開幕から約1カ月間は9番が中心で、ふと気が付いた時には連続安打が20試合を超えていたというのが正直なところ。それでも、単純に打席が回るチャンスの少ない下位を打つ中で、記録を29試合まで伸ばしたのはスゴいの一言だ。
事実、安打を記録した29試合のうち、5回以上打席が巡ってきたのは7試合のみ。それにしても、記録が途切れた試合が今季初めて1番で起用された試合だったというのはなんとも皮肉なことだ。
なお、連続試合安打記録への挑戦は、チームメートのイグザンダー・ボガーツに引き継がれている。ボガーツはこのロッキーズ戦で1安打を放ち、現在メジャートップの19試合連続安打中。ディマジオの記録までは37試合……。ちょうどこの19試合連続をあと2度マークすれば57試合となり、ディマジオの記録を破ることになる。
不滅の大記録への挑戦。果たしてこの先、75年も前に作られたディマジオの記録に迫る打者は現れるのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)