レッドソックスの打線がスゴい...
ア・リーグ東地区の名門ボストン・レッドソックスが好調だ。
最下位に沈むライバル・ヤンキースを尻目に、同地区で2位。首位のオリオールズとも0.5ゲーム差と肉薄しており、好調な滑り出しを見せている。
上原浩治に田沢純一という日本人のリリーフ2枚看板を擁しているだけに、投手陣の方に注目が集まりがちなところはあるが、今シーズンはとにかく打線が良い。
ここまで41試合を戦い、チーム打率は驚異の.296。ほぼ3割という成績は、メジャー30球団で見ても断トツという数字である。以下は現地時間5月18日にロイヤルズ戦(ダブルヘッダー2戦目)を戦った最新のラインナップである。
1(右)ベッツ [率].262
2(遊)ボガーツ [率].339
3(指)オルティス [率].312
4(一)ハンリー・ラミレス [率].314
5(三)ショー [率].318
6(二)ラットリッジ [率].382 ※
7(中)ブラッドリー [率].332
8(捕)バスケス [率].254 ※
9(左)ホルト [率].239
※は規定未到達
なんと、先発9人のうち5人が規定打席到達での3割超え。この日はダブルヘッダー開催だったため、セカンドの主戦であるペドロイアに変わってラットリッジが入っているが、ペドロイアも規定クリアで.299をマーク。相手にとって脅威でしかない、まさに抜け目のない打線となっているのだ。
チャンスを掴んだ2年目のショー
強力打線の中での注目は、サードでの起用が多いトラビス・ショー。今年がメジャー2年目・26歳という期待の若手である。
昨シーズン途中にメジャーに昇格し、65試合の出場で打率.270、13本塁打、36打点と猛アピール。今年の飛躍へとつなげた。
もともとレッドソックスのサードには、2014年オフにFAで獲得した“カンフー・パンダ”ことパブロ・サンドバルがいた。
5年総額9500万ドル(現在のレートで約104億円)という大型契約で連れてきた男だけに、不動のレギュラーとして君臨しているはずだったのだが、昨シーズンは126試合の出場で打率.245、10本塁打、47打点と低調な打撃を披露。
度重なる“太り過ぎ”の指摘に対する態度や、試合中に自身の『Instagram』で「いいね!」を押してしまうなど、プレー以外での素行面でも期待を大きく裏切り、ボストンのファンを幻滅させた。
そんなサンドバルは今シーズンもオフをのんびりと過ごし、ゆるんだ体型のままキャンプに登場。オープン戦でまったく打てずに開幕スタメンから外れると、現地時間4月13日には「肩の違和感」で故障者リスト入りを余儀なくされる。
それも、その原因となったのが練習や試合ではなく、家で寝ていて「起きたら痛かった」というからさあ大変。ボストンのファンやメディアからは怒りを通り越して“諦めムード”すら漂ったほど。結局、肩の手術を受けたため、サンドバルの2016年シーズンは早くも幕を閉じた。
そんな中でチャンスをモノにし、活躍を見せたショーはまさにヒーロー。ファンの心を鷲掴みにし、ファレル監督からも「サードにはショーがいる」と言わしめた。
今シーズン限りでの引退を宣言しているデービッド・オルティスの花道を飾るためにも、レッドソックスにとって今年は勝負の一年。2013年以来の地区優勝、ワールドチャンピオンへ…。メジャー屈指の強力打線がチームを高みへと導く。