コラム 2016.06.05. 11:00

ダルビッシュは規格外?続けて活躍することの難しさ

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復帰2連勝のダルビッシュ有

サイヤング賞級投手2人による投げ合い


 現地時間2日、アストロズ-ダイヤモンドバックスの一戦が全米の注目を浴びた。

 この試合に先発したのは、ダラス・カイケル(アストロズ)とザック・グリンキー(ダイヤモンドバックス)。昨年ア・リーグのサイヤング賞を獲得したカイケルと、ナ・リーグのサイヤング賞次点に入ったグリンキー。メジャーでも屈指の好投手同士の対決が実現したのだ。

 しかし、今季はともに開幕から苦しんでいる。2日の試合前の時点でカイケルは3勝6敗、防御率5.58。グリンキーは6勝3敗、防御率4.71とともに神がかり的な活躍を見せた昨季の面影はない。

 それでも、この試合ではともに好投。この投げ合いが復活への足がかりとなるか、今後の2人の投球に注目が集まる。


沢村賞投手の翌年は...


 サイヤング賞級の活躍を2年以上続けて見せる投手というのは、メジャーでは決して少なくない。

 1990年代以降だけでもグレグ・マダックスやロジャー・クレメンス、ランディ・ジョンソン、ペドロ・マルチネス、ティム・リンスカム、クレイトン・カーショーの6人が2年(以上)連続でサイヤング賞を受賞している。

 しかし日本では、サイヤング賞に近い位置づけとなる沢村賞を連続して受賞した投手は数少ない。セ・パ両リーグの投手が受賞対象となった1990年以降を見ると、2年連続で受賞したのは1995年~96年の斎藤雅樹(巨人)のみなのだ。

 フルシーズンにわたって高いクオリティーで多くのイニングを投げることが必要なため、受賞翌年は疲労などから同じクオリティーの投球をすることが極めて難しいというのがひとつ考えられる。そこで過去10年の沢村賞投手の翌年成績を洗い出してみた。

2006年 斉藤和巳(ソフトバンク) 18勝5敗、防御率1.75 → 6勝3敗、2.74
2007年 ダルビッシュ有(日本ハム) 15勝5敗、防1.82 → 16勝4敗、1.88
2008年 岩隈久志(楽天) 21勝4敗、防1.87 → 13勝6敗、3.25
2009年 涌井秀章(西武) 16勝6敗、防2.30 → 14勝8敗、3.67
2010年 前田健太(広島) 15勝8敗、防2.21 → 10勝12敗、2.46
2011年 田中将大(楽天) 19勝5敗、防1.27 → 10勝4敗、1.87
2012年 摂津正(ソフトバンク) 17勝5敗、防1.91 → 15勝8敗、3.05
2013年 田中将大(楽天) 24勝0敗、防1.27 → 13勝5敗、2.77(※ヤンキース)
2014年 金子千尋(オリックス) 16勝5敗、防1.98 → 7勝6敗、3.19
2015年 前田健太(広島) 15勝8敗、防2.09 → ?(※ドジャース)
(※所属球団は当時)

 こうして見ると、勝利数、防御率のどちらが、もしくは両方の数字が落ちていることがわかる。ここ数年は田中や金子のように受賞後に肩・肘が悲鳴を上げるケースも多い。

 そんな中、唯一2年続けてその水準を保ったといえるのがダルビッシュだろう。沢村賞受賞から8年後の昨季こそ故障に見舞われたが、受賞した年から5年連続で防御率1点台を記録するなど、ここ数年の日本人投手の中では規格外であることがわかる。

 昨季は沢村賞の前田健太(現ドジャース)や同等の活躍を見せた大谷翔平(日本ハム)、菅野智之(巨人)らが今季どういった成績を残すのかにも注目したい。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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