打撃好調な“ビッグ・パピ”
今季はイチローやメッツのバートロ・コロンなど、“オーバー40”の選手の活躍を目・耳にする機会が多いメジャーリーグ。中でも大きな注目を集めているのが、今季限りで引退を発表している偉大なあの選手だ。
レッドソックスの主砲デビッド・オルティス。40歳で迎えた今季、開幕から全盛期を上回るような打棒を見せつけている。
16日終了時点での打率は.344(ア・リーグ3位)。さらに17本塁打(同5位タイ)、57打点(同2位)と打撃3部門でトップを狙える位置にいるのだ。
「大器晩成」
オルティスのこれまでを振り返ってみると、 “大器晩成”だったことがわかる。
18歳でメジャーデビューを飾った同じ1975年生まれのアレックス・ロドリゲス(現ヤンキース)と比較すると、その差は一目瞭然だ。
オルティスもデビューは21歳と決して遅くはなかったが、レッドソックスへと移って本格化した2003年の開幕前(27歳時)までに積み上げた本塁打は僅か58本。同時期、ロドリゲスはすでに298本塁打を放っていた。
ちなみに、それ以降はオルティスが462本、ロドリゲスは396本と“ライバル”を逆転している。
OPSは驚異の数値を記録!
引退を決意して臨んだ今季、その打棒は留まるところを知らない。
そこで気になるのが、過去の名スラッガーたちの「メジャー最終年の成績」。通算500本塁打を放ったメジャリーガーですでに引退した選手の中で、メジャー最終年のOPS(出塁率+長打率)を高い順にまとめた。トップ10は以下の通り。
【強打者たちのメジャー最終年のOPS】
※通算500本塁打以上限定
1位 デビッド・オルティス(2016年/41歳)
☆OPS 1.138(149試合ペース)
2位 テッド・ウィリアムス(1960年/42歳)
☆OPS 1.096(113試合)
3位 バリー・ボンズ(2007年/43歳)
☆OPS 1.045(126試合)
4位 ゲリー・シェフィールド(2009年/41歳)
☆OPS.823(100試合)
5位 マーク・マグワイア(2001年/38歳)
☆OPS.808(97試合)
6位 ベーブ・ルース(1935年/40歳)
☆OPS.789(28試合)
7位 ジム・トーミ(2012年/42歳)
☆OPS.786(58試合)
8位 ラファエル・パルメイロ(2005年/41歳)
☆OPS.786(110試合)
9位 ミッキー・マントル(1968年/37歳)
☆OPS.782(144試合)
10位 サミー・ソーサ(2007年/39歳)
☆OPS.779(114試合)
多くの選手が峠を過ぎ、出場試合数を大幅に減らしている中、オルティスはほぼフル出場を続けている。しかも主軸として、テッド・ウィリアムスやバリー・ボンズの現役最終年をも上回るOPSをマーク。このままの勢いが維持できれば、現役最終年に三冠王という前代未聞の快挙達成だって大いにあり得る。
引退の年に「三冠王」と「ワールドシリーズ制覇」。そんなことになれば、メジャー史上最もカッコいい現役の終わり方として永遠に語り継がれるだろう。
文=八木遊(やぎ・ゆう)