コラム 2016.07.12. 06:30

マイナーで汗を流す青木宣親 苦しいシーズンを送り、低迷する理由

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マイナーで調整している青木宣親

メジャー5年目で初のマイナー落ち


 シアトル・マリナーズの青木宣親外野手が、苦しいシーズンを送っている。

 出塁率の高さを見込まれ、サンフランシスコ・ジャイアンツから昨オフに移籍してきたが、今季は67試合に出場して、打率.245、1本塁打、出塁率.323。いずれもメジャー移籍後、最低の成績で、期待された出塁率も昨季の.353から大きく下がっている。

 6月24日のタイガース戦で先発予定だったエイドリアン・サンプソンが、ブルペンでの投球練習中に右ヒジを負傷。リリーフ投手をひとり増やすチーム事情もあり、青木はメジャー5年目にして初めてマイナー降格となった。

 昨季までと今季の成績を比べると、四球を選ぶ割合は7.7%で昨季と差がない。打率が.245と昨季の.287から大きく下がっているように、出塁率の低下はコンタクト能力に変化が表れているからであろう。

 アメリカの野球データサイト「Fangraphs」によれば、今季の青木が投球に対しスイングした割合は46.5%。メジャー5年で最も高い数値だ。ストライクゾーンにきた球に対しスイングした割合は64.9%で、2014年に次いで2番目に高い。


ゴロの打球と内野フライが激増


 投球に対しスイングはできている青木だが、ストライクゾーンにきた球をスイングしたなかで、バットに当てた割合(ファウルを含む)は93.2%とメジャーキャリアで2番目に低い数値だ。投球全体に対し、スイングして空振りをしなかった割合は89.5%で、こちらもメジャーキャリアで2番目に低い。

 一方で、ストライクゾーンにきた球を見逃した割合は53.9%で、メジャーキャリアで最も高くなっている。ストライクゾーンにきた球をとらえる割合が低く、見逃しのストライクも増えているようでは打率が下がって当然である。

 また、とらえた打球にも変化が見られる。一般的にヒットになる確率が最も高いといわれるライナー性の打球が全体の16.7%。メジャーキャリアのなかで最も低く、ゴロの打球が全体の67.1%と最も高くなっている。そして、内野フライの割合が17.1%で、昨季の6.2%から約3倍に増えている。

 ゴロの打球が増え、強いライナーの当たりが減っただけではなく、球の力に押された打球やタイミングを崩された内野フライも増えている。

 昨季、頭部死球による脳震とうでしばらく戦列を離れたが、その後遺症があるのではないかと心配になるほど今季の青木はあらゆる面で数値を落としている。

 マイナー降格後、3Aで11試合に出場し打率.333と結果を残していて、14安打中3二塁打と長打も出ている。どこまでこの調子を維持してメジャーに戻れるか。チームはまだプレーオフを狙える位置にある。マリナーズはMLBで最もプレーオフから遠ざかっているチームだが、青木が復調すればプレーオフ進出に向けて大きなプラスになる。青木の奮起に期待したい。

文=京都純典(みやこ・すみのり)

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