合格点の投球は続けるも...
ヤンキースの田中将大が現地時間24日(日本時間25日)のツインズ戦に先発。6回を3失点に抑えて今シーズン5勝目を挙げた。
現地報道の見出しは、「ツインズの守乱に助けられる」や「救援陣が田中に勝利をプレゼント」などがほとんどで、特に田中を称賛する記事も、逆に田中が叩かれるような記事もほとんど見られなかった。
20億円を超える年俸を手にする田中にとって、ここまでの成績(15試合・5勝2敗・防御率3.01)は合格点ギリギリというところか。
これだけの年俸を手にしながら6回3失点であれば厳しい声が上がっても不思議ではないが、今のヤンキースには強力な3人の救援陣がいるため、クオリティースタート(=QS/6回以上を自責点3以内)をクリアしておけばそう叩かれるということはないだろう。
しかし、その強力な救援陣を形成するチャプマンやミラーの名前がトレード候補として挙がるなど、いつ解体されるかわからないような状況。もし3人のうち1人でも抜ければ、田中にはエースとしてハイクオリティースタート(=HQS/7回以上を自責点2以内)が求められることになるだろう。
天国か地獄かは本人の投球次第
チームは勝率5割復帰を果たしたとはいえ、高額年俸の選手を多く抱えており、しかもその多くが“峠を過ぎた”選手である。「ヤンキース、暗黒時代へ突入か」という論調が出てくるのも当然のチーム状況なのだ。
現在は同じく20億円を超える年俸を手にするアレックス・ロドリゲスやマーク・テシェイラらの成績も低調で、批判の声は分散されるような環境。今のところ、田中ひとりがバッシングを受けるような雰囲気はない。
数字を見ても勝利数こそ伸びていないとはいえ、15試合中7試合でハイクオリティースタートを記録(HQS率=46.7%)しており、勝利数も増えてくれば合格点は与えられるはず。
さらに今後これを上回るペースでHQS率も上がっていけば、エースとして称賛の声も増えてくるだろう。ただし、逆にこのペースを大きく下回るようなことがあれば、ニューヨーク中からバッシングの嵐が起きても不思議ではない。
間もなくメジャーのシーズンは折り返し地点を迎えるが、田中はいったいどちらに転ぶのだろうか…。日本時代から幾多の困難を乗り越えて成長してきた田中ならば、その答えはすでに知っているのかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)