コラム 2016.08.03. 07:00

昨夏、決勝戦で投げ合ったエースの今 ~あの夏のヒーロー~

無断転載禁止
最後は小笠原の決勝弾で決着がついた(C)KYODO NEWS IMAGES

いよいよ開幕、夏の甲子園!


 日本の夏の風物詩「全国高校野球選手権大会」が今月7日から開催される。

 毎年多くの注目選手が集まり、12球団のスカウトが熱い視線を送るこの大会。今年も新たなヒーローは生まれるのだろうか。


投げ合った両エースのその後


 “1年前の決勝戦”を覚えているだろうか――。東海大相模と仙台育英が演じたあの激闘だ。

 8回を終えて6-6。勝利の女神はどちらにほほえむのか……。最後までわからない接戦だったが、東海大相模が9回表に4点を奪い、夏の大会2度目の優勝を飾った。

 あの試合から約1年。激闘を投げ合った2人のエースはいま、プロ野球の世界で汗を流している。

 優勝投手となった東海大相模の元エース・小笠原慎之介は、昨秋のドラフトで中日が1位指名。退団した川上憲伸の背番号「11」を受け継いだ。

 一方、準優勝に終わった仙台育英のマウンドを守ったのが佐藤世那だった。同じドラフトでオリックスから6位で指名され、背番号は「67」を与えられた。甲子園の決勝で投げ合った2人は、ドラフトでは明暗を分ける形となった。


いつかはプロの舞台で投げ合いを...


 ドラフトの順位が示す通り、現時点での期待値は小笠原が佐藤を上回っている。

 将来の左腕エース候補はすでに一軍デビューを果たし、ここまで7試合に登板。勝利こそないものの、防御率3.38と上々のプロ生活を歩みだしている。

 一方の佐藤も、二軍で7試合に登板。2勝3敗、防御率は6.39と打ち込まれてはいるが、31イニングで25奪三振は大器の片鱗をうかがわせる数字である。ちなみに、小笠原の二軍での成績は9試合で3勝2敗、防御率4.93。45回3分の2を投げ、34奪三振である。

 チーム事情から一軍デビューは小笠原が先となったが、この世界に入ってしまえば甲子園での活躍や、ドラフト順位は関係ない。投手ならマウンドで結果を残せるかどうか。それに尽きる。

 中日とオリックスはともにリーグ下位に低迷しており、若手の積極起用が見込まれる。上位球団に比べれば、2人がチャンスを得る機会は多いのかもしれない。

 2015年夏、最高の舞台で投げ合った2人が、プロ野球の一軍の舞台でも投げ合う日は来るだろうか。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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