日本人では松井秀、井口などが世界一を経験
1週間後に始まるワールドシリーズ(以下WS)へ向けて、ア・リーグはインディアンスが3連勝で早くも王手をかけた。ナ・リーグはカブスとドジャースが1勝ずつ挙げ、現地時間18日に第3戦が行われる。
現在30チームあるメジャーリーグでは、単純計算でWSに出場できる確率は15年に1度、WS制覇となると30年に1度という狭き門である。ドジャースの前田健太は、メジャー挑戦1年目から夢の舞台が目の前に見えている状況だ。
過去には1年目の日本人選手として、松井秀喜(当時ヤンキース)が2003年にWS出場を果たし、05年に井口資仁(当時ホワイトソックス)が、07年に松坂大輔(当時レッドソックス)が世界一に輝いている。2年目以降では新庄剛志(02年、当時ジャイアンツ)や青木宣親(14年、当時ロイヤルズ)など多くの日本人選手が大舞台を経験している。
イチローはWSに縁がない!?
一方でWSと縁がない日本人選手も……。12シーズンにわたってメジャーでプレーした野茂英雄や今季16シーズン目を終えたイチロー(マーリンズ)などだ。イチローはマリナーズ時代の2001年に、“新人”ながらチームの116勝(メジャータイ記録)に貢献。チームは地区優勝を果たしたが、リーグ優勝決定シリーズでヤンキースに1勝4敗で敗れ、WS出場はならなかった。それ以降、ポストシーズンを経験したのはシーズン途中に移籍したヤンキース時代の12年のみ。その年のヤンキースはア・リーグ最多の95勝をマークしたが、リーグ優勝決定シリーズでタイガースの前に涙をのんだ。
気付いてみればイチローはWSを経験することなく来季17シーズン目を迎える。数日後に43歳を迎えるイチローにとって選手として残された時間はそれほど多くはない。背番号と同じ51歳まで現役を希望しているともいわれるが、孤高の天才は夢の舞台に立つ日は来るのだろうか。
イチローはこれまでレギュラーシーズン通算2500試合に出場しているが、WS未出場の選手の試合数としては歴代6位である。
●ワールドシリーズ未出場選手のレギュラーシーズン出場試合数ランキング(野手)
1位 2831試合 ラファエル・パルメイロ
2位 2671試合 ケン・グリフィー・Jr.
3位 2627試合 アンドレ・ドーソン
4位 2528試合 アーニー・バンクス
5位 2527試合 フリオ・フランコ
6位 2500試合 イチロー
上位にはメジャーファンなら誰もが知る名前が並ぶ。1位のパルメイロとイチローの差は331試合。あと3年現役を続ければこの数字を超える可能性が高い。来季はマーリンズへの残留が決まっているが、チームが大きな補強に動かない限りポストシーズン進出は厳しいと言わざるを得ない。ポストシーズンを狙えるチームでのプレーを望むファンの声も多い。
果たしてイチローは2019年までメジャーでプレーできるのか。そしてそれまでにWS出場の夢はかなうのか。はたまた、パルメイロが持つ2831試合という“不名誉な記録”を更新してしまうのだろうか。できることならマーリンズのユニホームで美酒を味わうイチローの姿を見てみたいものだ。
文=八木遊