北海道日本ハムファイターズに所属する日本人選手の来季契約更改が、FAで移籍した大引啓次の人的補償選手(日本ハムが選択した場合)を除いて終了した。その年俸総額は3億5000万円ほど削減され、19億円弱(昨年比15%減)となる見込みになった。
今オフは大谷翔平の7000万円アップ(年俸1億円)を筆頭に、中田翔が5000万円増(年俸2億円)、宮西尚生は4000万円増(年俸1億8000万円)、増井浩俊の3000万円増(年俸1億2000万円)など、主力選手が大幅アップを勝ち取った一方で、1億6000万円ダウンの武田久(年俸8000万円)、武田勝も7000万円ダウン(年俸1億1000万円)と長くチームを支えたベテラン投手2人に大幅減俸を敢行。
加えて、稲葉篤紀(今季年俸1億3000万円)と金子誠(6800万円)の引退、小谷野栄一と大引啓次(ともに今季年俸7000万円)のFA移籍など、チーム内の高額年俸選手達がチームを離れることによって、選手年俸の大幅な圧縮に成功した。
そこで気になるのは、3億5000万円にも上った削減コストの使いみち。今季3位に終わったチームを強化させるには、外国人選手の獲得が近道となりそうだが、日本ハムは外国人の獲得について、独自の基準がもっとも厳しい球団の一つである。
例えば、他球団が獲得する外国人投手の多くは、上背が高くパワーピッチングが特徴の投手が多いが、今季の日本ハムでもっとも多く先発登板したメンドーサは、前述の外国人投手像から外れる。打者を圧倒するタイプではないが、7勝13敗ながら規定投球回到達者で5位のクオリティ・スタート(先発で6回以上を投げ自責点3以内)を記録するなど、試合を作る能力に長けている。
昨季まで在籍したウルフ(現ソフトバンク)やケッペルも然りで、両者に共通するのは球を動かし、ゴロでアウトを奪うこと。メンドーサは2014年のゴロアウトの割合が68%、2013年のウルフが76.8%、ケッペルも在籍4年間のゴロアウト率は、69.8%、69.0%、73.3%、63.5%と常に高い数値を記録した(ちなみに、昨季、ゴロアウトの平均割合がセ・リーグ53.4%、パは51.9%)。相手を圧倒するほどの力はないが、球を低めに集めて、本塁打や長打のリスクが少ないゴロを打たせて試合を作る投手を獲得する、日本ハムの外国人戦略が徹底している一例だ。
もう一つ、日本ハムの助っ人戦略で特徴的なのは、外国人選手の獲得費用である。今季日本ハムに在籍した外国人選手は5人いるが、その総年俸はわずかに3億円と12球団でもっとも少ない。前述した投手の例でも分かる通り、力で抑え込める能力があり、15勝以上を期待するような投手(=高コスト)ではなく、持ち球のレベルは平均的でも、確実に試合を作ってくれる投手(=低コスト)をリストアップする傾向が強い。すなわち、外国人選手に過剰な期待をかけず、また過剰なコストもかけない、といったところだろう。
コストカットに成功した3億5000万円分の費用を外国人選手に充てる可能性は少ないと考えられるが、上位のソフトバンクやオリックスとは戦力差が歴然だったことも事実。投打ともに、中田翔や大谷翔平以外に柱となるような選手が少なかったことは、シーズンで苦しんだ要因でもある。
球団の健全経営とチーム編成で評価の高い日本ハムが浮いた資金をどのように活用するのか。今後の動向に注目が集まりそうだ。
(※金額は推定)
今オフは大谷翔平の7000万円アップ(年俸1億円)を筆頭に、中田翔が5000万円増(年俸2億円)、宮西尚生は4000万円増(年俸1億8000万円)、増井浩俊の3000万円増(年俸1億2000万円)など、主力選手が大幅アップを勝ち取った一方で、1億6000万円ダウンの武田久(年俸8000万円)、武田勝も7000万円ダウン(年俸1億1000万円)と長くチームを支えたベテラン投手2人に大幅減俸を敢行。
加えて、稲葉篤紀(今季年俸1億3000万円)と金子誠(6800万円)の引退、小谷野栄一と大引啓次(ともに今季年俸7000万円)のFA移籍など、チーム内の高額年俸選手達がチームを離れることによって、選手年俸の大幅な圧縮に成功した。
そこで気になるのは、3億5000万円にも上った削減コストの使いみち。今季3位に終わったチームを強化させるには、外国人選手の獲得が近道となりそうだが、日本ハムは外国人の獲得について、独自の基準がもっとも厳しい球団の一つである。
例えば、他球団が獲得する外国人投手の多くは、上背が高くパワーピッチングが特徴の投手が多いが、今季の日本ハムでもっとも多く先発登板したメンドーサは、前述の外国人投手像から外れる。打者を圧倒するタイプではないが、7勝13敗ながら規定投球回到達者で5位のクオリティ・スタート(先発で6回以上を投げ自責点3以内)を記録するなど、試合を作る能力に長けている。
昨季まで在籍したウルフ(現ソフトバンク)やケッペルも然りで、両者に共通するのは球を動かし、ゴロでアウトを奪うこと。メンドーサは2014年のゴロアウトの割合が68%、2013年のウルフが76.8%、ケッペルも在籍4年間のゴロアウト率は、69.8%、69.0%、73.3%、63.5%と常に高い数値を記録した(ちなみに、昨季、ゴロアウトの平均割合がセ・リーグ53.4%、パは51.9%)。相手を圧倒するほどの力はないが、球を低めに集めて、本塁打や長打のリスクが少ないゴロを打たせて試合を作る投手を獲得する、日本ハムの外国人戦略が徹底している一例だ。
もう一つ、日本ハムの助っ人戦略で特徴的なのは、外国人選手の獲得費用である。今季日本ハムに在籍した外国人選手は5人いるが、その総年俸はわずかに3億円と12球団でもっとも少ない。前述した投手の例でも分かる通り、力で抑え込める能力があり、15勝以上を期待するような投手(=高コスト)ではなく、持ち球のレベルは平均的でも、確実に試合を作ってくれる投手(=低コスト)をリストアップする傾向が強い。すなわち、外国人選手に過剰な期待をかけず、また過剰なコストもかけない、といったところだろう。
コストカットに成功した3億5000万円分の費用を外国人選手に充てる可能性は少ないと考えられるが、上位のソフトバンクやオリックスとは戦力差が歴然だったことも事実。投打ともに、中田翔や大谷翔平以外に柱となるような選手が少なかったことは、シーズンで苦しんだ要因でもある。
球団の健全経営とチーム編成で評価の高い日本ハムが浮いた資金をどのように活用するのか。今後の動向に注目が集まりそうだ。
(※金額は推定)