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エース残留が最高のプレゼント 金子千尋の“紆余曲折”

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オリックスへの残留を正式に発表した金子千尋[Getty Images]
 今オフFA市場の大物が、残留という形で決着をつけた。国内FA権の行使を宣言していたオリックスの金子千尋が、チームへの残留を発表。年俸5億円プラス出来高払いの4年契約。エースの残留はまさに最高のクリスマスプレゼントとなり、このオフ積極的な動きを見せたオリックスのどの補強よりも大きな朗報としてファンを喜ばせた。

 オリックスファンからするとめでたし、めでたし。ではあるのだが、そもそもなぜここまでの長期戦に発展したのか。今オフの金子の動向を振り返っていきたい。

 シーズンが終わると、アメリカへ渡りワールドシリーズを“視察”するなど、メジャー志向の強さを見せていた金子。ポスティングか、残留か。結論は日米野球終了後に…という意向を示していたが、日米野球開幕直前の11月11日、FAの手続き締切日に、まさかの国内FA権の行使を宣言。この行動は衝撃を持って伝えられ、一部ではポスティングを容認させるための荒業だ、との声も出たが、本人は「全ての可能性を考えたいと思って、こういう決断になりました」と説明。オリックスの瀬戸山本部長は宣言残留を認め、全力で慰留に努める構えを見せた。

 しかし、大方の予想とは裏腹に、11月24日に行われたオリックスのファン感謝イベント後の取材で「ポスティングはしない」と発表。「今年、来年とちゃんと考え、自分が納得するうちに決められたら」と将来的な希望は口にしたものの、ひとまず今オフのメジャー挑戦は断念した。

 これで残留か国内移籍かの二択に絞られた金子の去就。中日の谷繁元信選手兼監督は「もちろん欲しい」とし、「本物のFA選手が出たということ」とコメントすれば、ソフトバンクの三笠杉彦球団統括本部長も「パ・リーグ一、12球団一の投手がFA市場に出てきたとなれば当然、前向きに検討する」と争奪戦に参戦する構えを見せる。

 結局ソフトバンクは松坂大輔の獲得などもあり、次第に撤退していったが、最後まで残ったオリックス、阪神、中日はまさに三つ巴。特に阪神は、最大で4年総額20億円近い金額を準備し、その他にも背番号「18」や複数年契約期間中でもメジャー挑戦する際には自由契約とする条項など、あらゆる手段を用意して全力で迎え入れる構えを見せていた。

 それでも、最後に勝ったのはチーム愛だった。「いろいろな球団から素晴らしい言葉を頂いたが、今のチームメートと一緒に今年できなかった優勝したいという気持ちが勝った」と金子。「オリックスに残ることを決めたので、どうしたら優勝することができるかしか考えていない」と、最後の最後で優勝を逃した今年のリベンジに燃えている。

 ただし、「メジャーでやりたい気持ちはあります」と未だメジャー挑戦は諦めていないことを明言。オリックスは今後もポスティングを認めない方針であり、今回FAを宣言してしまったことで、次に金子が海外FA権を得るのは順当に行っても4年後の2018年。35歳を迎える年までお預けとなる。

 数々の個人タイトルを獲得し、リーグを代表する投手にまで登りつめた金子千尋。エースが望むのは、オリックスでの優勝と、メジャー挑戦。この2つの夢を叶えることはできるのだろうか。
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