開幕から3カ月が経過したプロ野球。前半戦の折り返しへ向けて熱戦が繰り広げられる中、ファンの“熱い思い”が球団にぶつけられる季節がやってきた。
多くの企業の株主総会が集中する6月、プロ野球の親会社の株主総会も各地で行われている。中には球団に対しての意見や質問が飛び交うことも珍しくなく、ファンにとっては風物詩的なたのしみのひとつにもなっている。
よくニュースとして取り上げられるのが、阪神タイガースの親会社である阪急阪神ホールディングスの株主総会。熱狂的なファンが多くいることで有名なチームを持つ親会社は、株主総会の場で槍玉に挙げられることも多い。
今年の阪神の株主総会は16日に開かれたのだが、そのタイミングが最悪だった。チームは4連敗中で、内容もパ・リーグ最下位に沈むオリックスとの“関西ダービー”で3戦合計2-26の大惨敗を喫した直後というおまけ付き。ファンはここぞとばかりに思いをぶちまけた。
「(球団創設から)80周年なんですけど、はっきり言ってダメです。お客さんも入っていません」と現状をバッサリ斬られると、「もう岡田(彰布)さんを監督にしてはどうでしょうか」という提言まで飛び出した。
この質問に関して、球団の取締役も務めている田中計久常務は「確かになかなかしんどい試合が多くて、心配をおかけしています。ただ、首位の背中も近くて、2.5差です。現時点で監督(交代)うんぬんは、考えていません」と回答した。
たしかに、ちょうど4連敗中というタイミングで迎えた株主総会とはいえ、当時は借金3の3位。首位・巨人とは2.5ゲーム差という位置は決して悪くない。その状況で監督交代を求めるような声が挙がるというのは手厳しい阪神ファンならではといったところか。
また、この場では補強に関しても意見が挙がった。特に西武で成功を収めていることで最近よく言われるようになった“森友哉逃し”に関してだ。
「2年前のドラフトでは、西武に行った森を指名してほしかった。幼い頃から阪神が好きで、地元の甲子園で活躍するなど、阪神にふさわしい選手を指名してほしい」とある株主は訴え、続けて「補強に関してはおそらく中村(勝広)GMが判断されていると思うが、あの人の今の立ち位置はどうか」という質問も飛んだ。
これには田中常務も「地元選手を重視するという意見もくみとり、球団に伝えていきたい」と前向きにコメント。質問に挙がった中村GMに関しては、「フロントと現場をつなぐ大切な役割。補強の面でも呉昇桓やゴメスの獲得で活躍していただいている」とした。
また、厳しい意見がある一方で、「タイガースはもう少し頑張って下さい。外野(ファンなど)の声を気にせず、若い人を育ててください。金の力に頼るよりも若い人を」とエールが送られる場面も。厳しくなるのも、チームに期待し、チームを愛しているからなのだ。
ファンから喝を入れられた阪神は、株主総会直後の日本ハム戦で今季最多の11得点を挙げる大勝。そこから一分けを挟んでの5連勝で、一気にセ・リーグ首位へと躍り出た。スイッチが入ったチームはこのまま混セを抜け出し、創設80周年のメモリアルイヤーを飾ることができるだろうか。
その他では、積極補強で高い期待を受けながらも苦しい戦いが続くヤクルトとオリックスには厳しい意見が目立った。
24日に行われたヤクルト本社の株主総会では、「毎年必ず大きな連敗をしている」「ドラフトで指名した選手も一軍で活躍できていない」などといった問題点が指摘。衣笠剛球団社長は「混戦から頭一つ抜け出る戦いをしていきたい」と巻き返しを誓った。
オリックスは23日に株主総会が開かれ、「優勝候補と言われていたのになぜ最下位にいるのか」との声が。「もう一度頑張るというところを聞きたい」との質問に、西名弘明球団社長は「申し訳ありません」と謝罪した後、「戦力はそろってきた。少なくともCSに行けるように頑張りたい」と決意を述べた。
ファンあってのプロ野球。企業の株主総会で球団についての意見が飛び交うということは、それだけファンからの注目度も高いということ。愛のある“喝”を受けたチームの巻き返しに注目だ。
【ここまでの株主総会で出た意見・質問】
※6月24日時点
● 阪神
「岡田(彰布)さんを監督にしてはどうでしょうか」
「阪神にふさわしい選手を獲得して欲しい」
「中村(勝広)GMの現在の立ち位置とは」
「金の力に頼らず、若い人を育てて欲しい」
● ヤクルト
「毎年必ず大きな連敗をしている」
「ドラフトで獲得した選手たちが活躍していない」
「補強は適切なのか」
● オリックス
「優勝候補と言われていたのになぜ最下位にいるのか」
● 西武
「森選手を獲得していただきありがとうございました」
多くの企業の株主総会が集中する6月、プロ野球の親会社の株主総会も各地で行われている。中には球団に対しての意見や質問が飛び交うことも珍しくなく、ファンにとっては風物詩的なたのしみのひとつにもなっている。
よくニュースとして取り上げられるのが、阪神タイガースの親会社である阪急阪神ホールディングスの株主総会。熱狂的なファンが多くいることで有名なチームを持つ親会社は、株主総会の場で槍玉に挙げられることも多い。
今年の阪神の株主総会は16日に開かれたのだが、そのタイミングが最悪だった。チームは4連敗中で、内容もパ・リーグ最下位に沈むオリックスとの“関西ダービー”で3戦合計2-26の大惨敗を喫した直後というおまけ付き。ファンはここぞとばかりに思いをぶちまけた。
「(球団創設から)80周年なんですけど、はっきり言ってダメです。お客さんも入っていません」と現状をバッサリ斬られると、「もう岡田(彰布)さんを監督にしてはどうでしょうか」という提言まで飛び出した。
この質問に関して、球団の取締役も務めている田中計久常務は「確かになかなかしんどい試合が多くて、心配をおかけしています。ただ、首位の背中も近くて、2.5差です。現時点で監督(交代)うんぬんは、考えていません」と回答した。
たしかに、ちょうど4連敗中というタイミングで迎えた株主総会とはいえ、当時は借金3の3位。首位・巨人とは2.5ゲーム差という位置は決して悪くない。その状況で監督交代を求めるような声が挙がるというのは手厳しい阪神ファンならではといったところか。
また、この場では補強に関しても意見が挙がった。特に西武で成功を収めていることで最近よく言われるようになった“森友哉逃し”に関してだ。
「2年前のドラフトでは、西武に行った森を指名してほしかった。幼い頃から阪神が好きで、地元の甲子園で活躍するなど、阪神にふさわしい選手を指名してほしい」とある株主は訴え、続けて「補強に関してはおそらく中村(勝広)GMが判断されていると思うが、あの人の今の立ち位置はどうか」という質問も飛んだ。
これには田中常務も「地元選手を重視するという意見もくみとり、球団に伝えていきたい」と前向きにコメント。質問に挙がった中村GMに関しては、「フロントと現場をつなぐ大切な役割。補強の面でも呉昇桓やゴメスの獲得で活躍していただいている」とした。
また、厳しい意見がある一方で、「タイガースはもう少し頑張って下さい。外野(ファンなど)の声を気にせず、若い人を育ててください。金の力に頼るよりも若い人を」とエールが送られる場面も。厳しくなるのも、チームに期待し、チームを愛しているからなのだ。
ファンから喝を入れられた阪神は、株主総会直後の日本ハム戦で今季最多の11得点を挙げる大勝。そこから一分けを挟んでの5連勝で、一気にセ・リーグ首位へと躍り出た。スイッチが入ったチームはこのまま混セを抜け出し、創設80周年のメモリアルイヤーを飾ることができるだろうか。
その他では、積極補強で高い期待を受けながらも苦しい戦いが続くヤクルトとオリックスには厳しい意見が目立った。
24日に行われたヤクルト本社の株主総会では、「毎年必ず大きな連敗をしている」「ドラフトで指名した選手も一軍で活躍できていない」などといった問題点が指摘。衣笠剛球団社長は「混戦から頭一つ抜け出る戦いをしていきたい」と巻き返しを誓った。
オリックスは23日に株主総会が開かれ、「優勝候補と言われていたのになぜ最下位にいるのか」との声が。「もう一度頑張るというところを聞きたい」との質問に、西名弘明球団社長は「申し訳ありません」と謝罪した後、「戦力はそろってきた。少なくともCSに行けるように頑張りたい」と決意を述べた。
ファンあってのプロ野球。企業の株主総会で球団についての意見が飛び交うということは、それだけファンからの注目度も高いということ。愛のある“喝”を受けたチームの巻き返しに注目だ。
【ここまでの株主総会で出た意見・質問】
※6月24日時点
● 阪神
「岡田(彰布)さんを監督にしてはどうでしょうか」
「阪神にふさわしい選手を獲得して欲しい」
「中村(勝広)GMの現在の立ち位置とは」
「金の力に頼らず、若い人を育てて欲しい」
● ヤクルト
「毎年必ず大きな連敗をしている」
「ドラフトで獲得した選手たちが活躍していない」
「補強は適切なのか」
● オリックス
「優勝候補と言われていたのになぜ最下位にいるのか」
● 西武
「森選手を獲得していただきありがとうございました」