チームの命運を握るエース
13日に放送された「Going! Sports & News」(日本テレビ)で解説者の赤星憲広氏が阪神のキャンプ地を訪れ、エース藤浪晋太郎を直撃取材した。高卒1年目の2013年から10勝、11勝、14勝と直実に成長を遂げているが、赤星氏の目にはどう映ったのだろうか?
開幕投手を見据えているという藤浪は、昨季に自己最多の14勝を挙げながら、負けの数が7個あったことに言及。貯金の数は「7」だったが、チームが優勝するためにはその数を「10」にする必要があると説いた。
さらに勝ち星を増やし、負けを減らすためには完投数を増やすことが必要だという。その理由は、自軍の攻撃陣がたとえ1点しか取れなくても藤浪が相手を無得点に抑えれば試合には勝てるからだ。しかし途中で降板し、リリーフ陣が打たれればチームの勝ちにつながらない。大黒柱として4年目の今季はこれまで以上に完投にこだわる藤浪の姿が見られそうだ。
番組では昨季、試合前半(1~5回)と後半(6回以降)の藤浪の被打率の違いを挙げ、前半の.233に対して、後半は.198と、球数で言えば80~90球を過ぎたあたりからさらに打たれづらくなる藤浪の特徴を紹介。赤星氏は、完投数を増やすためには、昨季終盤に多投していたカーブなどを交え、緩急をつけることが重要だと語った。それによって体力温存にもつながり、貯金「10」が近づくだろうと予測している。
藤浪が抱える課題とは…
2005年以来のセ・リーグ制覇、そして1985年以来の日本一へ、藤浪のさらなる進化は必要不可欠。そのためには2つの弱点を克服しなければならない。
1つ目はやはり「制球力」。昨季は199イニングを投げ、リーグ最多の82四球、11死球を記録した。
さらに暴投の数もリーグ最多の9個と、藤浪には“荒れ球”のイメージがつきまとう。特に死球はルーキーイヤーの2個から2年目と3年目はともに11個と、ぐいぐい内角を突いていたことが分かる。その結果が3年目での奪三振王にもつながったといってもいいだろう。四球の数自体は減らしたいところだが、打者に恐怖心を植え付けるという意味では“荒れ球の藤浪”というイメージは残しておきたいところだ。
もう一つの弱点は「敵地での投球」だ。昨季のホーム成績は9勝2敗、防御率1.92と秀逸だったが、ビジターでは5勝5敗、3.22とその差は歴然。特に「ドーム球場」を苦手としており、2014年以降、15試合で4勝9敗、防御率3.88と“らしくない”数字が残っている。
同期間の甲子園球場での成績は26試合で14勝3敗、2.28と“11個の貯金”に成功しているだけに、「敵地」の「ドーム球場」での投球が大きなカギを握りそうだ。
阪神・金本政権1年目での優勝はあるのだろうか?21歳のエース・藤浪が弱点を克服し、10を超える貯金を残したとき、その二文字の現実味は帯びてくる。